「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【果なるかな、之れ難きこと末し】 Vol.373

 

子、磬(けい)を衛に撃つ。蕢(き)を荷って孔氏の門を過ぐる者有り。曰わく、心有るかな、磬を撃つや、と。既にして曰わく、鄙(ひ)なるかな、硜硜(こうこう)乎(こ)たり。己を知る莫(な)ければ、斯(すなわ)ち已(や)むのみ。深ければ則ち厲(れい)し、浅ければ則ち掲(かか)ぐ。

子曰わく、果なるかな、之れ難(かた)きこと末(な)し、と(「憲問第十四」39)

 

(解説)

孔子が衛国に滞在のとき、磬を打っていたときの話である。宿舎の前を蕢を担って通り過ぎる者がこう言った。「無心でないな、あの磬の打ちかたは」と。そして、続いてこう言った。「卑しい感じよ、小さく堅く固まっている。だれも自分の値打ちが分からんと言うのなら、廃業するまでのこと。水が深ければ、袴は脱いで、水が浅ければ、裾をからげて、との」と。

孔子は言った。「単純な思い切りよ。そんな行動は難しくないわ」と。論語 加地伸行

 

「蕢」を荷う者は隠者と言われる。 

「深ければ則ち厲し、浅ければ則ち掲ぐ」、「詩経」邶風(はいふう)、匏有苦葉(ほうゆうくよう)篇の句。

 

 

 果なるかな、之れ難きこと末し

「果」は果断のこと、つまり決断が立派であること。

 

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 やめる勇気、続ける勇気、そんなことを考えてしまう。

 継続は力という。続ける勇気ということでもあるが、続けていくには、時として「果」となる決断に迫られるときもあるのだろう。

 

「関連文書」

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 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

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  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫