「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【賓 退けば必ず復命して曰わく、賓 顧みずと】 Vol.238

 

君 召して擯(ひん)せ使(し)むれば、色 勃如(ぼつじょ)たり、足 躩如(かくじょ)たり。与(とも)に立つ所を揖(ゆう)し、手を左右にするとき、衣の前後襜如(せんじょ)たり。趨(こばし)り進むとき翼如(よくじょ)たり。賓 退けば必ず復命して曰わく、賓 顧みず、と。 (郷党第十 二)

 

  (解説)

「国君が孔子を召して、賓客を迎える介添役を命ぜられたとき、その顔色を正し、足は進めないようなありさまで、敬(つつし)んで君命を受けられた。他の介添役に揖する際、手を左右にされるが、衣の前も後ろも整然としており、乱れ動くことがなかった。趨り進まれるときは、鳥が翼を広げるように端正であった。賓客の退出を見送りなされたあと、必ず国君にこう報告された。「賓客は振り向かれることなく帰られました」と。論語 加地伸行

  

 「擯」は介添役、「勃如」は顔色を変えること。「躩如」は進もうとして進めないさま。「所与立」とは同僚の介添役、「揖」とは胸の前に組んだ両手を前に伸ばして上下させて行う礼。次々にことばを伝達するときや、その他、左側の人に対するときは、拱(こまぬ)いた手を胸の左方向へ、右側の人に対するときは、拱いた手を胸の右方向へ向けるというふうに手を左右にしたという。「襜如」は整ったさま。「翼如」は端正なさま。

 

 

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫
 

 

 
 
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