「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

日本発の変革者は出現するか、巨大テクノロジー企業の独占を規制する法が成立

 SNSなどに投資詐欺や特殊詐欺がはびこり、犯罪の温床になってしまったようにも感じます。これだけ被害が拡大しているのですから、何か規制があってあってもよさそうです。

メタ日本法人代表、なりすまし広告詐欺「重く受け止める」 - 日本経済新聞

「広告監視強化」、 解決はプラットフォーマーなどによる自主的監視に頼らざるを得ないのでしょうか。しかし、その基準が曖昧であれば、通り抜けていくものも多そうです。監視だけでは限界もありそうな気がします。もう少し政治が積極的になってもよさそうなものです。

 

 

 ビッグテックと呼ばれる巨大テクノロジー企業によって生み出された様々なアプリ、サービスなどが生活に入り込むようになりました。その裏では個人などデータなどが取り込まれ、それらが巨額な収益の源泉となっています。

GoogleやApple…ビッグテックはお嫌いですか? 「超国家」に身構える市民 - 日本経済新聞

 それに加え寡占化も進んでいます。一部の企業があまりに大きな力を持つことになっています。まるで世界を支配する「超国家」のような存在になりつつあるといいます。

独占規制法成立 

 巨大テクノロジー企業によるアプリ市場における独占を規制する新法「スマホ特定ソフトウエア競争促進法」が成立しました。競争を促し、提供価格の低下や利用者の選択肢を増やすことが目的だといいます。すでにEU 欧州連合が同種の規制で先行し、日本が追随することで、市場に変化は起きるのでしょうか。

巨大IT企業の独占規制法成立 スマホアプリ、競争促し価格低下 | 共同通信

 こうした政治の動きに懐疑的な見方があるようです。

政治的「解決」は答えになり得ない。辛抱すれば、創造的破壊――絶えず現れる新たなスタートアップが、優れたビジョンを持って老いる巨人に置き換わることで自然に解決していく。いわば、ほぼ完璧な自己調整の特徴といえよう。(出所:ダイヤモンドオンライン)

 

 

巨大さとは、すなわち巨利を生む存在である。企業が社会的ゴリアテに成長するに伴い、新しく起業家精神あふれるダビデが倒す機会を見出す。年老いて太った狩人は、狩られる側となる。新たな変革者が出現して台頭し、素早く変化、適応、変革できない古い大物を転覆させるのだ。(出所:ダイヤモンドオンライン)

 新たに成立した巨大テクノロジー企業の独占を規制する法で、日本発の新たな有用なサービスが生まれることはあるのでしょうか。それらによって今ある問題が解決され、巨人を凌駕するようになっていくことが理想なのでしょうが、そんな変革者が現れるのでしょうか。

 経営とは、「価値創造」を通じて対立を解消しながら人間の共同体を作り上げることだといいます。しかし、今では価値を作ることに目を向けず、それよりも他者を出し抜いて自分のものにしようとか、うまくいかない原因は他人のせいだという考え方がはびこっているといいます。価値とは奪い合うものではなく、無限に創造できるものと気づくべきといいます。

 

 

 強欲インフレという造語が、欧米では広まっているそうです。便乗値上げなどをした企業の取り分が多すぎることを指しといいます。日本も同様でその傾向が強まっていそうといいます。

もうけを賃上げに回さず会社が丸取り…「強欲インフレ」が日本を覆う 「人への投資」を問われた経団連会長は:東京新聞 TOKYO Web

 長引く物価高は、企業による必要以上の値上げが一因になっているとの見方があるそうです。企業がコスト増加分を上回る値上げで収益を拡大させ、過去最高を更新しています。しかし賃金には十分還元されない状況が続いています。

 こうした見方に、経団連の十倉会長は、付加価値(粗利)に占める人件費の割合「労働分配率」が「世界的に低下傾向にある」と説明したといいます。自ら変化を求めず、世界のものまねをしてそれを言い訳にしているようであれば、いつまでたっても新たな価値を創造することはなさそうです。

論語に学ぶ

柴(さい)や愚、参(しん)や魯(ろ)、師や辟(へき)、由(ゆう)や喭(がん)。子曰わく、回(かい)や其れ庶(ちか)きか。屢(つね)空(むな)し。賜(し)や命を受けずして貨殖(かしょく)す。億(はか)れば則ち屢に中(あ)たる、と。(「先進第十一」18)

 柴君は愚直、参君は重厚、師君は習熟。由君は強気、孔子はさらに「回君こそ、私のありかたに近いぞ、毎(つね)に心空しの状態となる。賜君(子貢)は天命を待ち受けず、自力で財産を増やす。考えて発言するが、いつも正確である」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 今の日本には子貢のようなタイプのリーダーが求められているのかもしれません。

 

 

 かつて日本を先進国へと駆け上ることができたにも、政治(自民党)と今の大企業の存在があったからなのでしょう。その成功でどちらも一時的は巨大となり、それが巨利を産み、この世の春を謳歌していたのでしょう。しかし、それはもう過去のことです。世界の競争に敗れ、素早く変化、適応、変革できない古い大物だったということが明らかになっています。さてさてこの先変われることはあるのでしょうか。

 足元で日経平均株価が足踏みを続けています。株価を押し上げる牽引役が不在といいます。

 

「参考文書」

ビッグテック「市場支配」は規制より創造的破壊が解決、世界トップ企業は入れ替わる | 政策・マーケットラボ | ダイヤモンド・オンライン

岩尾俊兵「世界は経営でできている」 無限に創造できる人生の価値|好書好日

日経平均156円安 株価失速が示すけん引役不在 大越優樹 - 日本経済新聞