政治の混乱が深刻のようです。6月から始まる定額減税を巡って、政府は、民間企業などに対して給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づけることにしているそうです。減税の恩恵を実感してもらうためといいますが、見え見えの支持率回復狙いではないでしょうか。企業にとってはかなりの負担が負担が生じているといいます。
一方で、電気料金が6月使用分(7月請求)から大幅に値上げとなるといいます。価格を抑える政府の補助金が、6月使用分から廃止されるためといいます。これでは「いってこい」で、単発の減税効果をどこまで感じることができるのでしょうか。
長期金利1%到達
国債の利回り(長期金利)が1.00%に上昇したそうです。日銀の国債買い入れ減額や早期追加利上げ観測を背景に、金利上昇圧力が強まったためといいます。異次元緩和で長期金利は長くゼロ%台やマイナス圏に抑え込まれていましたが、1%に到達したことで「金利ある世界」が現実のものとなってきたといいます。
「金利ある世界」は現実、利払い費増に備え財政健全化を-財政審 - Bloomberg
財政制度等審議会が、2025年度予算編成に向けた建議を財務相に提出、金利上昇に伴う利払い費の増加リスクに備えて財政健全化の取り組みを継続するよう求めたそうです。国債の想定金利が2025年度以降に1%上昇した場合、国の借金である国債の利払い費は33年度に従来見込みよりも8・7兆円増えるといわれます。すごい金額になるものです。重たい金利負担です。効果ゼロとはいいませんが、放漫財政のツケとしては重すぎないでしょうか。これだけのお金があれば、増税の必要性も薄まったのかもしれません。
論語に学ぶ
子路(しろ)曰わく、衛君 子を待ちて政を為さば、子 将(まさ)に奚(なに)をか先にせんとする、と。子曰わく、必ずや名を正さんか、と。子路曰わく、是れ有るかな、子の迂(う)なるや。奚(いずくん)ぞ其れ正さん、と。子曰わく、野(や)なるかな、由(ゆう)や。君子は其の知らざる所に於いては、蓋(けだ)し闕如(けつじょ)たり。名正しからざれば、則ち言順(げんじゅん)ならず。言順ならざれば、則ち事成らず、事成らざれば、則ち礼楽(れいがく)興(おこ)らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰 中(あ)たらず。刑罰 中たらざれば、則ち民 手足を錯(お)く所無し。故に君子 之を名づくれば、必ず言う可し。之を言えば、必ず行う可し。君子は其の言に於いて、苟(いやしく)もする所 無きのみ、と。(「子路第十三」3)
弟子の子路が「衛の国君が、先生を礼遇して政治を委ねられるとしますならば、先生は何から手をつけようとなされまするか」と尋ねました。孔子は「決まっている、名を正すことだ」と答えました。子路は「それですよ。先生の考えは現実離れしています。どうして名を正すなどという悠長なことでいいものですか」といいました。すると孔子は「現実的過ぎるぞ子路よ。君子 教養人たる者は、自分が知らないことについては、知らないままにすることだ。名が正しくなければ、「言」筋や論理が妥当でない。言が妥当でないと、政事が達成されない。政事が達成されないと、礼楽(規範、道徳)が盛んとならなくなる。礼楽が盛んにならないと、刑罰が当を得なくなる。刑罰が当を得なくなると、民には不安でゆっくり手足を伸ばして安らかに暮らすことができなくなる。だからこそ、君子 教養人は、名づければ、主張の筋を通すことができ、それができると政事ができ、道徳が守られ妥当な刑罰を行うことができる。その発言においては、軽はずみがあってはならない」と諭しました。
「名を正す」とは名分、大義名分を正すとの意味があるといいます。もしかして政府自民党の大義名分を見直せば、秩序も正しくなり、社会も安定するのかもしれません。
巨額マネーロンダリング事件
犯罪収益を法人口座を悪用するなどしてマネーロンダリング(資金洗浄)したとして、受け皿の法人運営に関わった計12人を組織犯罪処罰法違反などの疑いで逮捕されました。
「トクリュウ」700億円マネーロンダリングか 法人口座悪用、12容疑者逮捕 - 日本経済新聞
マネーロンダリング防止に向けた日本の取り組みの甘さを海外から厳しく指摘されているそうです。なかなかその対策が進んでいない実態があるようです。マネロン事件の類似性とはいわないまでも、政権を担う自民党からしておカネにルーズで、裏金作りに勤しんでいるのですから無理からぬことといってしまいそうです。
さてさて政治改革はこの先どうなっていくことになるのでしょうか。
「参考文書」
所得税の定額減税額、給与明細に記載義務化 住民税は6月分がゼロに:朝日新聞デジタル
6月電気代、最大46.4%上昇 補助金終了、再エネ賦課金は負担増 | 毎日新聞
消費、企業収益に影 長期金利1%、利息回復は恩恵:時事ドットコム