「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

過熱するインバウンド、待ち遠しい爆買い団体旅行、処理水海洋放出の影響

 インバウンドが活況を呈しています。コロナ渦前の水準を回復し、中国政府が日本への団体旅行を解禁したことで、さらに活気づいているようです。中国人による爆買いへの期待が大きいのでしょうか。

中国団体旅行解禁で訪日観光客200万人増の衝撃 航空会社や百貨店は着々と準備に取り掛かる | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン

 一方で、中国経済が急速に悪化しているといいます。消費は落ち込み、輸出も苦戦、物価が下落し、若者の5人に1人以上が失業中とのことです。そんな中国に期待できるのでしょうか。

 

 

失速する中国経済、デフレ懸念

最悪のシナリオは、こうした状況がスタグネーション(景気停滞)、もしくは「日本化」を招くことだ。最新の消費者物価データが示唆するような中国経済のデフレ入りに一部のエコノミストが警鐘を鳴らしている。(出所:ブルームバーグ

中国経済を冷やす習政権の戦略転換-「日本化」シナリオに現実味 - Bloomberg

「物価下落は需要低迷を示すとともに、一般世帯の買い控えや企業利益の減少、実質借り入れコストの上昇など、将来の成長の足かせとなる」と記事は指摘しています。

 米国による締め付け効果なのでしょうか。足元では経済成長率が米中で逆転しているそうです。投資の流れが変わり、経済規模で米中逆転が起きない可能性があるとの見方も浮上しているといいます。

期待と課題

 デフレ下にあっても、訪日観光が途絶えることはないのでしょうが、今までのような爆買いを期待してよいのでしょうか。それとも歴史的な円安が中国人の購買意欲を維持していくのでしょうか。

 他方、活気づくインバウンドの弊害として、オーバーツーリズムの指摘があります。また、人手不足などの問題も顕在化しつつあるそうです。

 こうした諸問題の解決を図りつつ、上手にインバウンド需要を取り込めて行けるのでしょうか。特需だと喜び目先の利益を追いかけることに必死になると思わぬしっぺ返しを食らわないかと心配になります。

 この機会を活かして、人手不足解消のための生産性向上、人材確保のための賃上げなどが進めばよいのでしょうし、オーバーツーリズム対策が多方面において行われるようになればいいのかもしれません。

 こうした諸課題の解決を図りつつ、需要を維持拡大させることができれば、持続的な成長という長年の課題解決にも役立つのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

利に放(よ)りて行えば、怨み多し。(「里仁第四」12)

  利害打算だけで行動すると、他者から怨まれることが多くなるといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 他者頼みの転がり込んでくるチャンスで儲けることばかりに熱中し過ぎないことが肝要なのかもしれません。

経済安全保障

 政府が今日にも福島第一原発に溜まり続ける「処理水」の海洋放出の日程を決めるそうです。この件について、中国は「極めて身勝手で無責任だ」と強く反発しています。現実、日本から輸入した水産物に対し全面的な放射性物質検査を始め、この影響で、日本から輸入した生鮮魚が前月比53.2%減となったといいます。

日本からの生鮮魚輸入5割減 中国7月、検査強化で | 共同通信

 一方、日本政府は経済安全保障を名目に、中国への締め付けを図り、また台湾有事を想定しては、自民党幹部が威圧的な発言したりしています。

 このような状況で両国関係が良好であり続けるのでしょうか。中国政府をあまり追い込み過ぎて、政権が求心力を失い始めると、「反日」キャンペーンが始まりかねないような気もします。何においても、日本政府には慎重さが求められていそうです。

 

「参考文書」

コラム:米国が中国上回る経済成長、今年最大の「サプライズ」に | ロイター