「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

処理水海洋放出、懸念を深める拙い政府対応

 福島第一原発に溜まる処理水の海洋放出の日程が決まりました。首相も国論が割れるようなやり方が好きなんだなと改めて思います。何でもかんでも政治主導で解決を図ればよいということではないのでしょう。間違ったリーダーシップ論を学ばれているのいるのでしょうか。

「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」 処理水放出計画に福島県漁連 検査重ね増やした漁獲量「ようやくここまできたのに」:東京新聞 TOKYO Web

 首相が官邸で全漁連の坂本会長らと面談するニュースをみて、多少なりとも違和感を覚えました。その前日には原発を視察していましたが、なぜ福島県漁連なり、漁業者関係者の現場を見に行かなかったのでしょうか。

 

 

 官邸に呼び出して、客人を待たせて、一番に最後に着席するスタイルに驚きます。理解を求める主として、ずいぶん横柄な態度というものではないでしょうか。通常であれば、許されることなのでしょうが、この場合、最大限に配慮して、相手を迎え入れる形を整え、誠意をこめることができれば印象もまた異なるような気がします。

論語に学ぶ

顔淵 仁を問う。子曰わく、己を克ちて礼に復(ふく)するを、仁と為す。一日 己を克ちて礼に復すれば、天下 仁に帰す。仁を為すは己に由(よ)る。人に由らんや、と。顔淵曰わく、其の目(もく)を請いて問わん、と。子曰わく、礼に非(あら)ざるもの視ること勿(な)かれ、非礼 聴くこと勿れ、非礼 言うこと勿れ、非礼 動くこと勿れ、と。

顔淵曰わく、回(かい)、不敏と雖(いえど)も、請う、斯(そ)の語を事とせん、と。(「顔淵第十二」1)

 弟子の顔淵が「仁」とは何でしょうかと質問しました。孔子は「利己を抑え、「礼」規範に立つことが「仁」である。ひとたび利己を抑え、「礼」規範を実行するならば、世の人々はみな、「仁」を実践することになるであろう。「仁」人の道を実践するのは、己の覚悟しだいなのであって、他人に頼ってできるものではない」と答えます。顔淵が「その実践内容はどのようなものでありましょうか」と問います。孔子は「礼」規範でないもの、非礼を視るな、聴くな、言うな、行なうな」と答えました。

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 権力者としての地位を誇示するような態度が現れては、利己的であることを主張しているようなものなのでしょう。礼に従い、謙虚になり、相手を慮るようにならないと指示される側こころよく話を聞くことはできないのではないでしょうか。

 

 

物価対策

 最近の首相はあちこちに露出して、ここに指示した、あそこにあれを指示したと喋りまくっています。

首相、ガソリン高騰抑制策継続へ | ロイター

 首相は自民党の萩生田政調会長と官邸で面談し、ガソリン価格抑制の補助金が9月末で期限を迎えるのを踏まえ、価格高騰対策を8月中に取りまとめるよう指示したといいます。

 形式にこだわっていると感じます。トップダウンによる成果にしたいのでしょうか。

脱炭素

 政府が来年度予算の概算要求で、脱炭素に向けたGX:グリーントランスフォーメーションに2兆円超を要求するそうです。蓄電池や半導体、水素関連装置などGXに欠かせない製品の国内生産を集中支援するといいます。

GXに2兆円超、政府概算要求 複数年で民間投資後押し - 日本経済新聞

 政策が総花的になり、どこもかしこにも国の関与が強まっていないでしょうか。支持率回復のためなら何でもやるというように見えます。手法が古いままでアップデートできていないようです。

 こうした政府のやり方が慢性化すると、国の言うことさえ聞いていればよいとならないでしょうか。それは楽なことですが、独立独歩の精神が阻害されそうです。経済が停滞するのもこういうことが起因していないでしょうか。

 

「参考文書」

岸田首相、「溝」残し放出決断へ 漁業者の反対変わらず:時事ドットコム