「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【利に放りて行えば、怨み多し】 Vol.81 積み上がる企業の内部留保、低下する労働分配率 アベノミクスの正体は?

 

 子曰わく、利に放(よ)りて行えば、怨み多し。(「里仁第四」12)

  

(解説)

「利害打算だけで行動すると、他者から怨まれることが多くなる。」論語 加地伸行

 

「利」は元来、公益、公利 (国家、社会のため)であって、私利私欲ではないと、加地は「易」文言伝の「利は義の和なり」を引用し解説する。この章の「利」は私利私欲を意味し、それを批判しているという。

「放」を放縦(ほしいまま)とする解釈もあるという。

 

 

 安倍政権が憲政史上最長となったそうだ。通算の在任日数が2887日を超え、戦前の桂政権を抜いた。安倍長期政権を検証する報道が増えている。安倍政権の一丁目一番地「アベノミクス」の評価はどんなものであろうか。 

  NHKニュースによると、アベノミクスの評価は、企業は経常利益を大幅に増加させ、有効求人倍率が改善した。経済界はアベノミクスを評価するという。

 一方で、企業の内部留保は積み上がるが、労働分配率は低下しているとも指摘する。

 

利に放りて行えば、怨み多し 

 NHKは東京在住の40代女性の意見を紹介する。

「景気は悪くなっていないと思うが、自分の暮らしには回復の実感がないと感じています。社会保険料と税金は家計にとってかなりの負担で、前の年より大きな消費をすることもできません。いま払っている社会保険料も老後に戻ってくる保証はどこにもないのでまずは貯金するしかありません」 (出所:NHKニュース)

 

 この7年間を振り返って見える景色、結果は何を示しているのだろうか。

 国民あっての政治、従業員あっての企業。示された数字をどう判断すべきか。

 景気の気という。幸福を感じる人々がどれだけ増えたのだろうか。

  

「参考文献」

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)