「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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迫る処理水の海洋放出、失う信用、壊れていく安心

 いよいよ福島第一原子力発電所から「処理水」が海洋放出にされることになりそうです。首相が現地を視察、準備状況を確認したといいます。関係閣僚会議を経て最終決定され、開始時期は月内とする方向で最終調整しているといいます。

処理水の海洋放出、月内で最終調整…福島原発視察の首相「漁業者の懸念に寄り添う」 : 読売新聞

 原発に溜まった水を政治的な決断で海洋放出してもいいものかとの疑問も残ります。首相は、またも「先送りできない課題」と述べ、廃炉と福島の復興を進めていくためとも語ったといいます。

 記事によると、9月1日に福島県沿岸で底引き網漁が再開されるため、今月中にも放出を始め、モニタリングデータを公表して安全性をアピールする狙いがあるといいます。また、風評被害の対策に万全を期し、300億円の基金を準備し、しっかりと対応していくといいます。

 

 

政治家たちは、自分たちが用心深く、人々を気遣っていると証明しようとしています。しかし実際に人々が受け取るメッセージは、これは本当に、本当に危険なものに違いない、というものです。(出所:BBC

福島第一原発の処理水放出、恐怖と事実が対抗する地元を取材 - BBCニュース

 現在までに積み上げられた科学的知見とデータからすれば、もしかして「処理水」は安全といえるものかもしれません。ただ目の当たりにした原発事故の凄惨な状況とこれまでの対応から、まだ安心を得ていないのでしょう。

 政府がどんなに万全な準備と風評被害のための基金を積み上げたところで、安心はお金で買えず、逆にこうした行為が不信感を醸成させてしまうのではないでしょうか。

原発政策、言行不一致

「先送りできない課題」といって、原発再稼働させていくという号令をかけたのはいいけれど、原発には核のごみが溜まり続け、その再処理施設の建設は遅れに遅れ、中間貯蔵施設を建設しようにも地元では反対の声がありがります。

「中間貯蔵施設計画」撤回求め市民団体が中国電力に申し入れ 上関町は18日にも調査受け入れ判断 | 広島ニュースTSS | TSSテレビ新広島

 国には国の事情があるのかもしれませんが、その対応で信用を壊しているようです。これでは原発への安心・安全を回復させるのは難しそうです。その手順・プロセスに問題があるのかもしれません。

本来、国民を守るために安心安全を第一として、規制を強化すべき国がその責務を放棄して、推進役に回るのだからこうなってしまうのも当然の帰結なのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

人として信無くんば、その可なるを知らざるなり。大車輗(げい)無く、小車軏(げつ)無くんば、其れ何を以て之を行らんや。(「為政第二」22)

 人として信用がない。それでよいのだろうか。大車に横木がなく、小車にくびきがなければ、どのようにして動かせようかと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 信用なくして、どうして国が動かせることができるかということなのでしょう。その信用も言行一致がなければおぼつかないのでしょう。

 もうそろそろ利権政治から卒業するときなのかもしれません。それが変化が激しい時代に対応することを難しくし、また突発的に起こる環境変化に柔軟に対応することを難しくしているのではないでしょうか。今の政府が推進する原発政策はその最たる例なのかもしれません。