「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

解決しない問題、活用できないデータ、AI、ロールモデル不在の日本

 巨大な橋げたの落下事故には驚きました。原因調査が始まったそうです。その解明が待たれます。

 マイナンバーカードを使ったコンビニ証明書交付サービスで、また別人の住民票などが発行されるトラブルがおきたといいます。未だに問題が収束していないようです。

 信じ難いことが続きます。

マイナ44自治体プログラムミス 富士通の証明書交付 | 共同通信

 デジタル庁が富士通Japanに対し、改めて自治体と調整のうえ速やかにサービスを停止して修正プログラムを適用するよう要請したといいます。再発防止、その対策に疑問を感じずにはいられません。富士通Japanもさることながら、自治体でも問題意識が希薄化しているのではないかと感じます。

 

 

 三重県でまた痛ましい事件がありました。4歳の娘への傷害致死容疑で母親が逮捕された事件について、三重県が、「AI」の評価などを参考にして、娘の一時保護を見送っていたと明かしたそうです。

女児虐待の疑い、AIの「保護率39%」評価参考に児相が保護見送り:朝日新聞デジタル

 AIでの評価結果が「保護率39%」であったことより、一時保護せずに在宅での定期見守りを決めていたといいます。

AIシステムは虐待や虐待を疑われる過去事例を職員の判断に生かすもので、2014年度以降の約6千件分のデータを集め、20年7月に県が導入した。(出所:朝日新聞

 AIの中味がわからないので何ともいえませんが、データ過信が過ぎるような気がします。「保護率39%」は何を意味しているのでしょうか。命にかかわることであれば、データを利用することがあっても、制度設計、しくみ作りに細心の注意が求められるはずです。

政府のデータ活用

「30年ぶりの高い水準の賃上げ」、日本経済には前向きな動きが生まれていると首相は強調しています。一方で、厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計調査では、実質賃金が前年同月比1.2%減となり、14カ月連続で減少しているといいます。また、総務省が発表した5月の家計調査でも、実質消費支出が減少を続けているそうです。

日本の平均年収は「443万円」、国民負担率46.8…もはや罰ゲーム!普通の生活が厳しすぎる日本人に増税を企てる鬼の岸田政権 - みんかぶ(マガジン)

 政府のデータ活用もこんなものかと感じます。都合いいようにデータを使って自らの成果を強調するようでは社会が良い方向に向くこともないのでしょう。問題意識の欠如というしかありません。こうした国の姿勢が、悪習となって世の中に伝播していくのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

明日(めいじつ)遂に行(さ)る。陳(ちん)に在(あ)りて糧を絶つ。従者病みて能(よ)く興(た)つこと莫(な)し。子路(しろ)慍(うら)みて見(みま)えて曰わく、君子も亦(また)窮すること有るか、と。子曰わく、君子固(もと)より窮す。小人は窮すれば斯(すなわ)ちに濫(みだ)る、と。(「衛霊公第十五」2)

 孔子一行が諸事情があって衛国から出国となり、陳国に滞在しているとき、困難に陥り、7日間も食糧がなかった。弟子たちは飢餓で立つことも出来ない状態になってしまった。弟子の子路孔子に食ってかかり、「君子 教養人も窮することがあるのか」と、問い詰めた。すると孔子は「君子教養人とて、もとより窮することがある。しかし、小人は追い詰められる度が過ぎて道から外れ右往左往するのだ」と答えました。

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 自身でコントロールできないこともあるもので、時にそれによって苦しい状況になることもあるのでしょう。君子 教養ある人は一時的にそれを受け入れ、一方、小人は見識もなく、過度に反応し右往左往して、世の中を濫すことをしがちなのかもしれません。

 この国の小人たちにもう少し「論理」「科学的・疑問的態度」があれば、データやAIをもっと賢く活用できようになるのかもしれません。

 この難しい時代におけるロールモデルが、どこにも存在しなくなっているような気がします。 

 

「参考文書」

富士通Japan製コンビニ交付システムの修正プログラム、44団体が未適用 | 日経クロステック(xTECH)