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【原発処理水の海洋放出】続くトラブル、地に落ちた信頼

 福島第一原子力発電所内に保管されている大量の処理水の海洋放出について、IAEA 国際原子力機関がグローバルな安全基準と合致しているとした評価報告書を政府に提出しました。これを受け、政府は夏までに処理水の海洋放出を始めるようです。

 しかし、漁業関係者が風評被害を懸念し、住民の一部も反対しています。また、中国はこの件について厳しく批判、韓国では抗議デモが行われているといいます。

IAEA、福島原発処理水の海洋放出計画にお墨付き-安全と評価 - Bloomberg

 ことを前に進めなければ、処理水の問題は解決に近づきません。しかし、漁業関係者にとっては風評被害は切実な問題です。反発が根強く残るといううことは、まだまだやるべきことがあり、また、できることがあるということなのでしょう。このまま努力もせずに強引に進めれば、さらに反発を買い、信頼を失うことになります。

 国の仕事が粗すぎるようです。それはこの問題だけに限ったことではないような気がします。

 

 

 公明党の山口代表が「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方がよい」と発言したことで批判され、弁明せざるを得なくなりました。政治的な混乱の一幕に見えますし、政治的に機能していないのでしょう。

論語に学ぶ

子禽、子貢に問うて曰わく、夫子は是の邦に至るや、必ずや其の政を聞く、之れを求めたる与(か)。抑そも之れを与えたる与。子貢曰わく、夫子は温・良・恭・倹・譲、以て之れを得たり。夫子の之れを求むるや、其れ諸(こ)れ人の之れを求むるに異なる与。 (「学而第一」10)

 弟子の子禽が先輩の子貢に「政治参加は孔子さまのほうから要求されたのか、それとも、訪れた国の君主から頼まれたのか。そのどちらですか」と質問します。子貢は「先生は、五徳 「温」温和、「良」善良、「恭」恭敬、「倹」倹約、「譲」謙譲を具えていたので、政治にあずかる地位をおのずと得られました。先生がそれをお求めになったとしても、それはどうもほかの人とは違っていた」と答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子は、天下人民を安んじることに熱意を示し、つねに仕官を求めていたといいます。しかしその活動がうまくいっていていたことはないようです。人格が信頼されれば、地位がもたらされることもあるのでしょうが、多少なりとも野心がなければ、その地位につくことは出来ない現実もあるということなのでしょう。

 

 

 今どきの政治家たちは権力に恋々としているばかりで、その人格で人を魅了し、信頼を基礎にすることがまったくできていないようです。

 税収が過去最高を更新し、71兆円に達しているのに、一般会計の予算額は139兆円に膨れ上がり大赤字です。愚の骨頂なのに、それでもなお退職金増税と口に出す始末です。これでは国民が安んじることはなく、いつまでも苦しめられるだけです。

史上最高の71兆円税収も庶民の税負担増加 余剰金は防衛費に回す理不尽な現実に気づくべき 古賀茂明(1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット)

 2025年に開催される大阪・関西万博においては、参加する国や地域が建てるパビリオン建設で必要な申請数がゼロとなっている問題があるそうです。大阪府の吉村知事は国に支援を求めているといいます。

 いつになっても問題は尽きることはなさそうです。政府の仕事が問題を作り、トラブルを生み出しているのでしょう。信頼が地に落ちた政治といってもよさそうです。

 名宰相といわれるような人物は稀にしか現れないものなのでしょう。それにしても、ここ最近の政治は酷すぎないでしょうか。もしかして今、私たちは史上最悪の政府を見ているのかもしれません。

 

「参考文書」

IAEA調査「支持」 処理水放出「歓迎」外れる―G7共同声明:時事ドットコム

「風評被害招く」公明・山口代表発言に与野党の批判相次ぐ - 産経ニュース

吉村氏、5月に岸田首相にも伝達 万博の海外パビリオン申請「ゼロ」:朝日新聞デジタル