「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

迫るG7サミット、国益を守るには何が必要なのか

 

「『習近平氏に負ける』首相、サミット見据えアフリカへ」と日本経済新聞が報じています。

 そういって対抗心を燃やしたところで、もう負けを認めているようなものではないかと思います。

岸田文雄首相「習近平氏に負ける」 G7サミット見据えアフリカへ - 日本経済新聞

 現実を素直に受け入れたほうが良いはずですが、なかなかそうできないということでしょうか。

中国やロシアが志向する「力の支配」から国際秩序を守るG7の意志を示す場と位置づける。影響力を増す新興・途上国の賛同を取り付けるため29日からアフリカ4カ国を訪問する。(出所:日本経済新聞

 G7の理念をアフリカ諸国が易々と受け入れてくれるのでしょうか。

 危機感に煽られて、国益を守らなければとの焦燥感に駆れた行動で、人を説得できるのでしょうか。

最後のフロンティア

「最後のフロンティア」と呼ばれるアフリカ、2050年には世界の4人に1人がアフリカの人たちになると予測され、大きな可能性を秘める地といわれます。しかし今なおアフリカは紛争や貧困、飢餓などに苦しみ、いまだ大国による搾取の場となっているともいわれます。

オールジャパンでアフリカ勢とウィンウィンの形を構築し、アフリカの中国依存を減らせば国際社会での日本の発言力も高まる。(出所:産経新聞

"最後のフロンティア" アフリカ 日本の存在感を高めるために NHK解説委員室

 これまで日本のアフリカ外交は乏しく、一方、中国は外相が毎年初めに必ずアフリカ各国を訪問し関係の構築・維持に余念がないといいます。

 グローバリゼーションが始まった当初、安い労働力と今後の成長を期待するのであれば、中国、東南アジアからインド、さらに西へ西へと向かい、最後はアフリカに行きつくのではないかと思ったものです。

 中には、アフリカのポテンシャルの高さを確信して、早くからアフリカで活動する人たちもいました。

アフリカに太陽光パネルを 商社各社が分散電源事業を強化 11億人居住の非電化地域を開拓 - 産経ニュース

 こうした活動もあったにもかかわらず、ほぼ負けが確定してから、力をいれて挽回しようとしたところで、なかなか結果を得るのは困難ではないでしょうか。一発逆転を狙ったところで、実力不足では何の成果もないのでしょう。中国が不得意であろう人権を中心にしたビジネスの展開であれば、まだ可能性があるのかもしれません。

いずれにせよ、求められるのはアイデアと知恵、地道な努力しかないのでしょう。

論語に学ぶ

曾子曰く、吾 日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか、と。(「学而第一」4)

「忠」は、かりそめにせず、まごころを尽くすこと。「信」は誠実、特に言葉における信義。「習わざるを伝えしか」は、十分に勉強しないで、自分自身が納得がいくまで理解習熟していないことを軽々しく伝えていないかと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 この三箇条の反省はすべて他人との関係において発想されているといいます。独善的になることを戒め、人間が社会内存在として連帯性を重んじ行動することの重要性を説くものともいいます。

「忠」まごころにかけ、「信」誠実さもなく、それに加えて不勉強であれば、いまさらG7の理念を押しつけてところで、相手からは独善的とみられるのがおちではないでしょうか。

論語

論語」に興味をおぼえたのも、日本が元気であった昭和期の名経営者の多くが愛読書にあげていたことでした。「論語」を読むことで、自身の経営哲学を養っていたのかもしれないと想像もしていました。しかし、読みだしてもなかなか理解は進まず、何度も再読、学習するたびに少しは理解できるようになりました。その言わんとすることは、はたしてほんとうに正しいのだろうかと疑問をもって、様々な本と対比してみれば、言葉の表現の違いはあれど、洋の東西を問わず、本質的なところでは大きな差はないのではないかとも感じました。

そうであるから、どんな危機に陥っても、これまでは世界は協力できたのではないでしょうか。

リーダーたる者は、誰が真の友かを知っていなければならない。

真の友とは、なんでも無条件で賛成したり、言いなりになったりする人とはかぎらない。本物の友情は、対等であるべきだ。順調な時も、苦境の時も友情を持ち続け、尊敬しあえる間柄でなければならない。

時によって、相手が正しいと率直に認めることは決して弱さではない。

(引用:「なぜ真のリーダーがいないのか」リー・アイアコッカ

昭和の経営者たち

 アサヒビールの中興の祖といわれる樋口廣太郎さん。どん底にあったアサヒビールを「スーパードライ」で日本No.1のビール会社に成長させました。

 樋口さんが住友銀行に在籍時に上司だったのが堀田庄三さん。樋口さんは、堀田さんから『目立ち過ぎる』と注意されたことがあったそうで、そのときに『知に溺れるな』という言葉を教わり座右の銘としたといいます。

自分の能力を磨き、それに自負を持つ一方、そのちっぽけさを知り、人や社会への感謝も忘れるな。(引用:「つきあい好きが道を開く - 元気の出る交遊録 」樋口廣太郎)

 堀田さんは、エリートが陥りがちな独善を自ら戒めていた真の財界人であったと樋口さんは評しています。

 自己の基盤となる素養を身につけ鍛え上で、最新の学説や知識を取り入れていくのが、よいのかもしれません。流行りの学説を上辺だけ真似るだけでは独善的になってしまうのかもしれません。

 独善的にならなければ、かつての日本のように、もっと世界的で活躍できるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

官民で「最後のフロンティア」開拓 対中で巻き返し - 産経ニュース