「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

二人の巨人の違いは何か、ビルゲイツの気候変動とビジョンファンドのAI革命

 

 先日ビル・ゲイツ氏が来日し、2020年に受章した「旭日大綬章」を受け取ったそうです。その際、NewsPicksのインタビューに応え、若い人たちへのメッセージとして、「環境危機を乗り越えるために、気候変動に関する政策などに興味を持って関わるべき」と話されていたといいます。

目の前だけ、自分の国だけではなく、いま世界で何が起きているかにも目を向けてみてください。ぜひ広い視野を持って、気候変動という地球課題に積極的に関わってください。(出所:NewsPicks)

 ゲイツ氏は、感染症や気候変動に警鐘を鳴らし、そのの解決のためには、人類が総力を挙げて取り組まなければならないといいます。また、気候変動対策に取り組む革新的なスタートアップを支援しているそうです。

 

 

 一方、孫正義氏は、「AI革命」を信じて、ビジョンファンドを通じて関連スタートアップに多額の資金を投じてきましたが、行き詰まり感が漂っています。

孫正義氏のソフトバンクG、巨額損失でビジネスモデルのほころび露呈 - Bloomberg

 孫氏の投資戦略は、極めて積極的な独占資本主義に基づくビジネスモデルとブルームバーグは指摘しています。

ウィーワークやウーバー・テクノロジーズ、ドアダッシュなどに巨額の出資を行ってきた孫正義氏の戦略は、こうしたスタートアップが何年にもにわたる赤字に耐えるようにした上で、市場の寡占状態を確立し、長期的利益を得るというものだ。(出所:ブルームバーグ

 インターネット市場は1社によって独占されやすいという過去の成功事例を模倣したに過ぎず、経済理論に基づく本物のテクノロジー企業でなければ、消費者に悪影響をもたらし最終的に規制当局と衝突するというリスクがあるといいます。

 こうした指摘をされてしまうと、孫氏の「AI革命」は搾取のための道具だったということになってしまいます。問題解決を目指したのではなく、己の欲を満足させるためだったのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

富と貴きとは、是れ人の欲する所なり。其の道を以てせざれば、之を得るも処(お)らざるなり。貧と賤とは、是れ人の悪(にく)む所なり。其の道を以てせざれば、之を得るも去らざるなり。君子、仁を去りて、悪(いず)くにか名を成さん。君子は終食(しゅうしょく)の間も仁に違うこと無く、造次(ぞうじ)にも必ず是に於いてし、顚沛(てんぱい)にも必ず是に於いてす。(「里仁第四」5)

『仁は最高の基本的価値であって、財産も地位もそれを動かすことはできず、また仁は日常坐臥いかなる瞬間にも君子の生活の中心にならなければならぬ。君子と言われほどの者に仁以外の居場所はない』と桑原は解しています。

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 孔子は、仁の徳を守る人はおのずと富み且つ貴くなるはずであり、不仁者は貧しく賤しい地位に落ちるはずという考えに立っているといいます。

 一方、反乱をおこす陽虎は、「富を為せば仁ならず、仁を為せば富まず」といったといい、理想を排して現実的なものの見方をしていたようです。

 

 

「急いては事を仕損じる」という言葉があります。あまり焦るとかえって失敗しやすく、急いでしたことが無駄になるとの意味です。

 孫氏も年齢を重ねることで「せっかち」になり、「富を為せば仁ならず、仁を為せば富まず」、陽虎のような思想に近づいているように見えてしまいます。

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 孫氏と交流があった元アサヒビール社長の樋口廣太郎氏は、かつて「冷静な頭に温かい心という言葉がありますが、こうした心意気で何事にもこの先取り組んでいただきたい」(出所:樋口廣太郎「つきあい好きが道を開く」)と、孫氏にアドバイスを送っていました。

 もしかして持っていたはずの「温かい心」が影を潜めているのかもしれません。

 大きな影響力を発揮してきたビジョンファンドだけに、もし変化があれば世界ももう少し違う形になっていくのではないでしょうか。

「参考文書」

【本人直撃】ビル・ゲイツが「日本の若者」に訴えたいこと