ソフトバンクグループの株主総会が開かれ、過去最大の赤字に転落し、1年で3割以上下落し、低迷が続く株価に対しての釈明があったといいます。
ソフトバンクG総会「孫氏後継は永遠の課題」と社外取:タイムライン - Bloomberg
ソフトバンクグループは、2022年3月期の連結決算で過去最大の1兆7080億円の赤字を出しました。世界的な株安の影響を受け、ビジョン・ファンドの成績が悪化したことが要因といわれています。
「ソフトバンクグループの株価を長い目で見ろとはどのくらいか」との質問に対し、孫社長は「何十年まで待つことはないが、分からない。5年、10年の単位で見れば、私はかなり自信がある」と述べた。(出所:ブルームバーグ)
かつては出資した中国アリババなどによって牽引された業績も今では見る影もなくなってしまったようです。
今後の中国のビジネス環境の見通しを聞かれた孫社長は「中国はAIのすばらしい技術を持った会社が現れているが、政府の方針が影響する。どういう方針が打ち出されるのか、われわれには分かりにくいので、方針が明確になるまで無茶をしない」と述べたといいます。
また、孫社長が提唱する情報革命はこれからもAIが支える旨の発言があったようです。一方、「世界一のスーパーコンピューター『富岳』のCPUも全部アームだ」とし、アームは「ソフトバンクGの中核の中の中核になる」と述べたといいます。
AI一辺倒だった孫社長の言説が変わってきたのでしょうか。アームは英国のファブレスの半導体設計会社です。
論語に学ぶ
篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くし、危邦(きほう)には入らず、乱邦(らんぽう)には居(お)らず。天下 道有らば、則ち見(あら)われ、道無くんば則ち隠る。邦に道有りて、貧にして且つ賤(いや)しきは、恥なり。邦に道無くして、富み且つ貴きは、恥なり。(「泰伯第八」13)
学ぶことをあつく信じ続け、道を求め、その実践を繰り返す。それが学を好むということなのかもしれません。
危機に瀕した国には足を踏み入れず、無秩序に陥っている国にはとどまることはない。社会に道義があるのなら世の中に出て行動する。逆に道義が存しないときはのがれて隠遁する。これが君子の取るべき態度である。
国家に道義があるときに、社会参加せずに、貧乏で賤しい地位にとどまっているのは恥ずかしいことであるが、道義が地をはらった国家において、そこから利益を引き出し、金持ちになり高い地位を占めているのは恥ずかしいことである」と意味します。
「生命のあるうちは操守をかたくして日々精進する。自分の信じるところを守り、これを社会にひろめ、人民のためをはかるためには、身の処し方は十分慎重にして配慮すべき」と、桑原武夫はこの章の意味を解説します。
インターネットが登場し、いち早くその可能性に気づき情報革命を提唱したことに、孫社長の先見性があったのでしょう。しかし、その波に乗れたのは、当時の社会が平和だったからかもしれません。
孫正義が叫んだあのひと言から、日本は変わった | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
「今のネット社会の革命は明治維新に匹敵する」
新市場が整備され、世界的な金融緩和の流れ、そして規制緩和が進み、才覚さえあれば一夜にして億万長者が誕生できる時代に日本もなっていた。経営者がスターのようにスポットライトを浴び、「カネを稼ぐ」という言葉がストレートなメッセージとなった。(出所:Forbes)
こうした風潮を作り出したのが孫社長とForbesはいいます。それは何も日本だけではないのかもしれません。孫社長の力添えで中国にジャックマーが登場しました。そうしたことからしても、孫社長は世界にも大きな影響を与えていたのでしょう。
しかし、時代が変わったということなのでしょう。泰平だった社会はいつしか対立、争いばかりになってしまいました。残念ながら、今のネットは対立、分断を煽る手段となっていないでしょうか。
インターネットが登場したころのように秩序をとり戻す必要がありそうです。ネットの力で再び平和な社会に戻していくことはできるのでしょうか。
今、気候変動の問題があり、感染症対策が求められ、一方で地政学リスクが高まっています。こうした国際情勢を鑑みた新たな秩序が求められているのでしょう。
もしかしたら、孫社長の変わる新たなリーダーが求められているようになっているということなのもしれません。