「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

醜態をさらしていないか、気になる国葬の今後

 

 亡くなった安倍晋三元首相の国葬への賛否が変われる中、政府が国葬費用約2億4900万円を一般予備費から支出することを閣議で決定したそうです。

安倍晋三元首相の国葬費は過去最大の2.5億円 しかも警備費や要人接遇費は別:東京新聞 TOKYO Web

 戦後の歴代首相の葬儀に対する国費支出額として過去最大となるといいます。費用には警察による警備費や海外要人の接遇に使う経費は含まれておらず、さらに膨らむといいます。

 また、松野官房長官は、根強い反対論を意識してのことか、「国民一人一人に喪に服することや、政治的評価を求めるものではない」と強調し、誤解を招かないため、各府省庁に弔意表明を求める閣議了解は行わないといいます。

 政府の姿勢が当初から変化しているように感じます。国民感情を読み違えたのでしょうか。混乱ぶり、醜態をさらしてはいないでしょうか。

 

 

 論語に学ぶ

子游(しゆう)曰わく、喪には哀(あい)を致して止む。(「子張第十九」14)

 弟子の子游は「葬儀においては、哀しみをつくし、そこでやめる」といったといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 痛ましい事件に心を揺さぶられ、多くの人が献花し、手を合わせる。それで十分ということなのでしょう。

 義憤に駆れることなく、また、華美な葬儀は慎むべきなのでしょう。過剰な反応は時として立場を危うくするのかもしれません。

 

 

 首相の国葬とした理由が未だに釈然としません。政権与党の論理としては成り立つのかもしれませんが、功罪の罪の部分を隠した評価には納得がいかないものです。

▼憲政史上最長の在任期間
▼内政(震災復興や経済の再生)、外交(日米関係を基軸とした外交)での大きな実績
▼外国首脳を含む国際社会からの高い評価
▼選挙期間中の突然の蛮行による逝去

 また首相は「安倍元総理を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」と述べ、国民に理解を求めました。

安倍晋三氏、日本の憲政史上最長の首相が残したレガシー - BBCニュース

 どうにも価値基準が曖昧になっているように思えてなりません。法的根拠を示したところで、それ以前になぜ国葬との発想に至ったのでしょうか。

 

 

 この問題にしろ「正邪」「善悪」の区別に絶対がないことを改めて思い知らせることが続いています。

 今のこの時における「正しさ」を知るには、孔子ではありませんが、学び続け、常に思考をアップデートして続けるしかないと感じるばかりです。

 山口周氏が説く「美意識」が気になります。

なぜ私が「美意識」について考え始めたのか?(山口 周) | +αオンライン | 講談社(1/3)

エシックス(倫理)の問題にせよ、クリエイティビティ(創造性)の問題にせよ、元をただしてみれば、ある種のみっともなさに対する自覚というか、「美意識」が欠けているのではないかと考えたのが大きなきっかけでした。(出所:現代ビジネス)

 記事のよれば、複雑で不安定な現代社会では、「分析」「論理」「理性」といった、これまで絶対視されてきたサイエンス重視の意思決定や方法論が限界にきていると、山口氏は指摘し、このような時代には、経営の判断にも、自らの「真」「善」「美」の感覚、すなわち「美意識」を鍛え、拠り所としていくことこそが重要と主張しているといいます。

 国葬の問題にしろ、原発再稼働にしろ首相の選択を見ていると、山口氏ではないですが、「美意識」に欠け、みっともなさに対する自覚が欠如しているのではないかと感じてしまいます。