「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

黒田総裁の失言で、円安是正、賃上げはあるのだろうか

 

 円安、物価上昇への嫌悪感が高まっているようです。黒田発言が引き金となっていると専門家がいいます。

物価上昇が普通に行われる社会を目指す黒田日銀の政策は、9年前の導入当初こそ熱狂的に受け入れられたものの、いまその実現が見えてきたところで世論からバッシングを受け、実質的にはここで幕を閉じた。(出所:Business Insider)

 当時支持された古い政策目標も9年という時間が過ぎ、適正にアップデートされなければ、陳腐するということでしょうか。

 日銀、政府が望まない方向に進んでいくのではないかとみる専門家もいるようです。

 

 

 急激に物価が上昇するようになり、人々はそれを憂います。物価が高騰すれば消費を減らす自衛はできても、生活のため買う行為自体をやめることはできないので、受け入れざるを得ません。しかし、黒田総裁は、こうした家計部門への理解と配慮がないと受け取れる発言を続けてしまいました。

 元々、黒田日銀は、物価上昇、要するに値上げが普通に行われる社会を目指してきたといいます。物価上昇が賃金の上昇を誘発し、結果として景気も回復していくという論理といいます。

結局「値上げ許容度高まっている」黒田発言は何が「地雷を踏んだ」のか。家計の実質所得に配慮が薄すぎて… | Business Insider Japan

 この黒田総裁の論理に、専門家からは疑問視する声があがっているそうです。

最近よく言われる「悪い円安」も、家計部門のコスト負担増大が議論の本質であって、その意味では円安の善し悪しより、実質所得の善し悪しが本当の問題意識と思われる。円安は輸入価格の上昇を通じて交易損失を拡大する方向に作用するので、実質所得に対する影響から「悪い」という判を押されやすくなる。(出所:Business Insider)

 黒田騒動から、日本においては「いかに物価上昇が受け入れられないか」をあらためて感じさせられたと記事はいいます。

 

 

論語に学ぶ

終日違わずして愚なるが如し。退いて其の私を省みれば、亦以て発するに足れり。回や愚ならず。(「為政第二」9)

 孔子が弟子の顔回について話すことがあったそうです。顔回孔子が話すことを一日中黙って聞いて同意するばかりで、まるで愚か者のようであったといいます。しかし、部屋に戻れば、孔子から教えられたことを復習、理解し、そこから新たに物ごとを明らかにしていたといいます。孔子は、こうした姿勢の顔回を見ては、彼はけっして愚か者ではないといったといいます。

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 黒田総裁にも、聞く耳を持ち、気づきを得て、真摯にていねいに対応していく顔回のような姿勢があればよかったのではないでしょうか。だらだらと同じ政策を長く続けているだけでは愚か者に見えてしまいます。

批判を浴びた黒田総裁の「家計の値上げ許容度も高まってきている」発言には、ここまで日銀が目指してきた「インフレ期待の底上げ」が実現しつつあるという意味合いも含まれていたのだろう。(出所:Business Insider)

 そうであるなら、黒田総裁はこの先も陳腐したはずの目標を堅持し続けるのかもしれません。ただ、発言の真意がどこにあったにせよ、「値上げへの嫌悪」が示された以上、その対応が第一優先にならなければなりません。

 

 

子游孝を問う。子曰わく、今の孝は、是れ能(よ)く養うを謂う。犬馬に至るも、皆能く養う有り。何を以て別(わか)たんや、と。(「為政第二」7)

 弟子の子游が「孝」について尋ねています。孔子は「近ごろの孝は、親をただ食わせているだけだ。人間は犬や馬だって食わせているな。それだけなら同じことではないか。父母に対して敬うことがなければ、どこで区別できよう」と答えたといいます。dsupplying.hatenadiary.jp

「孝」は「仁」に通じる基本です。敬う気持ちあって「仁」という徳を実践することができます。

 黒田総裁に、どれだけ人を、国民を思う気持ちがあって行動しているのかと考えさせられます。経済がよくなったところで、人の気持ちに変化が起きなければ、好況感、好景気になることはないのでしょう。結局、経済活動も人が行うものです。それを刺激するにしても、人を思う気持ちがないと成り立つことはないのではないでしょうか。