「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

親孝行について③【今の孝は、是れ能く養うを謂う。犬馬に至るも、皆能く養う有り】 Vol.28

 

 親孝行について 

  

 子游孝を問う。子曰わく、今の孝は、是れ能(よ)く養うを謂う。犬馬に至るも、皆能く養う有り。何を以て別(わか)たんや、と。(「為政第二」7)

  

(意味)

「門人の子游が孝の意味をおたずしたところ、孔子はこう答えた。「近ごろの孝は、親をただ食わせているだけだ。人間は犬や馬だって食わせているな。(それだけなら同じことではないか。)父母に対して尊敬するということがなければ、どこで区別できよう。」(論語 加地伸行

 

 この章には二つの読みがあると桑原はいう。第一は、加地と同じ内容で、もうひとつは、人間に奉仕すること。  

 第二の説は、人間は両親に奉仕する。しかし、犬は家の番をし、馬は人の労働の代理をする。人間に奉仕するというかぎり、同じことではないか。敬愛の気持ちが無ければ、どうして区別できよう、と読む。(論語 桑原武夫

 

 

 どちらを採用するかは個人次第。どちらも、敬う、敬愛の気持ちが大切とはいっている。

 また、桑原は、孔子は孝を定義しようとしているのではなく、道徳律として説いていると指摘する。この為政の章にはいくつか孝についての表現が出てくる。比べてみるのもよいかと思う。 

f:id:dsupplying:20190903100449j:plain

 

子游」、姓は言、名は偃、字名が子游孔子より四十五歳年少の弟子。孔門十哲の一人。学問に秀れ、文学には子游といわれる。礼の形式を重んずる客観派の一人ともされる。子夏学派が礼の形式に流れたのに対して、子游は「礼の精神」を強調する。 

 

dsupplying.hatenadiary.jp

 

(参考文献) 

論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

 
論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)