孺悲(じゅひ) 孔子に見(まみ)えんと欲す。孔子 辞するに疾(やまい)を以てす。命を将(おこ)なう者 戸を出(い)ず。瑟(しつ)を取りて歌い、之をして之を聞かしむ。(「陽貨第十七」17)
(解説)
孺悲が孔子に面会に来た。孔子は病気だとしてそれをお断りになった。取り次ぎの者が退出した。孔子は瑟を弾じて歌い、孺悲に聞こえるようにした。(論語 加地伸行)
孺悲は、孔子が編纂した言われる「礼記」雑記の篇に登場するという。この篇では、諸侯から士までの喪礼を雑駁に論じられている。
孔子がなぜ、その孺悲に面会しなかったのか、その理由は定かではないという。
この章は約束せずに面会を求める者に対する失礼にならない断り方ということなのだろうか。加地は孺悲を広い意味で孔子の弟子とみる。そうであれば非礼を諭したと読めそうな気もする。あまり訓戒的に読まなくてもいいのかもしれない。
(参考文献)