「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

評価はみずものか、対ロシア政策を批判されるメルケル独前首相、再評価される菅前首相

 

 ドイツのメルケル元首相が、約半年ぶりに公の場でのインタビューに応じ、ウクライナ情勢について語ったといいます。

 ロシアを非難し、「ヨーロッパで、何世紀も前のことを持ち出して、実はこの土地はこの国のものなんだ、などと言い出したら、戦争が起こるだけです。それはあってはならないことです」と述べたといいます。

「結果は良くなかったが間違ってはいなかった」メルケル前首相の苦しい言い訳 | 「外交は結果がすべてではない」 | クーリエ・ジャポン

 クーリエジャポンによると、「プーチンは西側の民主主義を嫌悪していて、ヨーロッパを壊したいと思っていたのではないか」とメルケル氏は話したそうです。

 

 

 クーリエ・ジャポンは、メルケル氏について本を書いたジャーナリスト、ウルズラ・ヴァイデンフェルトの言葉を紹介しています。

反省の言葉がなかった外交について、「あれがだめならこれをやろうというように、粘り強く選択肢をいくつも探り、関係国の合意を探るのがメルケル流」と、慎重な姿勢を評価している。他方で、「ロシアに対して妥協的すぎたのは、メルケルだけではなく、西側すべてに言えるのではないか」と述べた。(出所:クーリエ・ジャポン

 歴史に「もしも」はないといいます。今の結果を知っていれば、メルケル氏の首相在任中の行動も当然違っていたのでしょう。個人的にはメルケル氏在任中の対中ロ政策は、融和過ぎていないかと感じることはありましたが、世界が対立を回避し、共存共栄で繁栄していくためにはメルケル流が最善なのかと納得していたことを思い出します。

「外交というものは、結果的にうまく行かなくても、間違いだったということにはなりません。だから私も、ここで自分が間違っていたという気はありませんし、謝罪をするつもりもありません」とメルケル氏はインタビューでそう述べ、譲歩し過ぎたのではないかという批判をかわしたといいます。

 もしはないことですが、メルケル政権がもう少し長く続いていたら、プーチン大統領も愚行にでることはなかったのかもしれまれないと言えなくもないように感じます。

 

 

論語に学ぶ

子貢 問いて曰わく、孔文子何を以て之を文と謂うか、と。子曰わく、敏にして学を好み、下問(かもん)を恥じず。是を以て之を文と謂う、と。(「公冶長第五」15)

 弟子の子貢が「あの孔文子が、どうして文という諡(おくりな)を得たのでしょうか」と疑問を呈しました。すると孔子は「孔文子は明敏であり学問を好み、後輩や目下の者に教えを乞うことを恥じなかった。そういうわけで、諡号(しごう)に文が贈られたのである」と説明しました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「孔文子」、衛の国の大夫だった人物。諡法に依れば、「文」とは「学に勤め問うを好む」と人柄を表すそうです。

 ただ、この「孔文子」孔圉はあまり評判がよくなかったといいます。大叔疾(たいしゅくしつ)という人に、自分の娘の孔姞(こうけつ)を嫁がせますが、対立し、疾は国外に逃亡すると、孔圉は娘の孔姞を、疾の弟の遺(い)に再婚させたそうです。当時は弟が嫂(あによめ)と結婚するのは家族道徳上許されないことであったといいます。子貢はこれを指摘したようです。

 歴史的評価も、何に焦点を当てるかで変化するということでしょうか。

 

 

 短命に終わった菅前首相でしたが、一定の時間が経過すると、その成果を再評価する見方が出ているそうです。

【コラム】 短命政権が残した永続的な功績、再評価へ-リーディー - Bloomberg

 一見すると線香花火的な政権で終わった歴代首相の一人にも見えるが、菅政権は、政策決定が往々にして遅々として進まない日本政治において同氏の功績は驚くほど素晴らしいものとブルームバーグはいいます。

「菅氏の政治家人生に一貫して見られるのは、現状打破への意欲」

菅氏肝いりの政策である不妊治療への保険適用が最近開始され、同氏は再び脚光を浴びている。保険適用開始を報告した同氏のツイートには、約50万件の「いいね」が寄せられ、日本の政治家の中で今年最多の「いいね」を獲得した。(出所:ブルームバーグ

 菅氏は成果を支持率には結び付けることができなかったと、ブルームバーグは前置きし、後任の岸田首相は立法面では大した成果も上げていなのに、ウクライナ情勢などへの対応に評価が集まり、支持率が政権発足以来最高水準にしているといいます。

人の評価とはこういうものなのでしょうか。

 孔子が「子貢(しこう) 人を方(くら)ぶ」といい、「賜(し)や、賢なるかな。夫(そ)れ我は則ち暇(いとま)あらず」と言いました。(「憲問第十四」29)

 人物を比較論評していた子貢のことを、「子貢の論評は的確で聡く賢い。私にはそんな暇はない」と孔子はいったそうです。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

「参考文書」

プーチン氏、西側は今後何年もロシアのエネルギーを拒絶しないと - BBCニュース