「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【敏にして学を好み、下問を恥じず】 Vol.109

 

子貢 問いて曰わく、孔文子何を以て之を文と謂うか、と。子曰わく、敏にして学を好み、下問(かもん)を恥じず。是を以て之を文と謂う、と。(「公冶長第五」15)

  

(解説)

「子貢が疑問を呈した。「あの孔文子が、どうして文という諡(おくりな)を得たのでしょうか」と。孔子はこう説明された。「孔文子は明敏であり学問を好み、後輩や目下の者に教えを乞うことを恥じなかった。そういうわけで、諡号(しごう)に文が贈られたのである」と。」論語 加地伸行

 

「孔文子」、衛国の大夫。姓は孔、名は圉、字名が叔圉。諡に「文」とつくという。

 諡法に依れば、「文」とは「学に勤め問うを好む」と人柄を表すという。

だがこの「孔文子」孔圉はあまり評判がよくなかったようだ。大叔疾(たいしゅくしつ)の妻を離婚させて自分の娘の孔姞(こうけつ)と結婚させたという。ところが、疾は前妻の妹を囲い、二人の妻を持つ状態になったので、孔圉は怒って疾を攻めようとしたが、孔子にとめられた。疾は恐れて国外に逃亡した。すると、孔圉は娘の孔姞を、なんと疾の弟の遺(い)に再婚させたという。弟が嫂と結婚するのは家族道徳上許されないことであった。

  

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)