子路 聞くこと有りて、未だ之を行なうこと能(あた)わずんば、唯聞くこと有るを恐る。(「公冶長第五」14)
(解説)
「子路は、何かを学んで、それをまだ身につけことができないうちは、他に学ぶことが出てくることを恐れた。」(論語 加地伸行)
桑原はもう少し詳しく解説する。「子路は真直ぐな人間で、知行合一を常に求めた。先生から教わったことはすぐに実行に移したい。しかし、まだそれが成果をあげていないうちに、また次の教えを聞くと、それも実行したくなり、あぶ蜂とらずになる恐れがある。だから、一つのことを成就するまで次の教えを聞くのが恐ろしい、といった。もちろん、それは子路本人が「恐ろしい」といったのか、他の門人がこれを見ていて、子路は恐れているといったのかわからないが、いずれにしても「恐」という強い言葉によって、子路の学問への純真な気持ちを的確に表している。こういう言葉によって、子路は後生の読者の人気を博しているのだ。」
「子路」、姓が仲、名は由、子路は字名。顔回(顔淵)とともに「論語」の二大脇役。大国の軍政のきりもりを任せられる人材と桑原はいう。子路は晩年、衛の国に仕えるが、内乱に巻き込まれ殺される。
「関連文書」
(参考文献)