子曰わく、泰伯は其れ至徳と謂う可(べ)きのみ。三たび天下を以て譲る。民 得て称(ほ)むる無し。(「泰伯第八」1)
(解説)
「孔子の教え。泰伯は最高度に至った美徳の持ち主であるぞ。主君の地位を譲った。民は泰伯の顕彰することがない。」(論語 加地伸行)
加地の補足説明。
周王朝が建てられる前、周国の君主に三人の子がいた。父は末弟の季歴を後継にしようと思っていたので、長子の泰伯は父のその意向を尊重して、次弟の仲雍とともに南方に行き身を隠した。
そこで季歴が後継者となる。この季歴から二代目の君主が殷王朝を倒して周王朝を建て、武王となる。この周王朝時代に孔子は生きており、武王の父の文王、武王の弟の周公を聖人としたという。
(参考文献)