内閣改造後の世論調査で、政権の支持率が低下したそうです。ただ半数近くの人が政権を支持しているといいます。
岸田内閣支持率は51%で過去最低、内閣改造「評価」45%-報道 - Bloomberg
旧統一教会と自民党国会議員との関わりや国葬について、説明不足と感じる人が多数いるとの結果になったといいます。
これに反して、新たに副大臣、政務官に任命された面々が特定団体との関係を認める始末となっています。これでは信頼を得ることが難しくなっていくのかもしれません。
政教分離は絶対ではありますが、個人の信教の自由がある以上、強硬に束縛することは難しく、選挙で選ばれた以上、副大臣や政務官に取り立てることが道義から外れているかといえば、それもまた違うのかもしれません。また民主主義である以上、最大派閥の意向は無視できない、首相の心中を察すれば、悶々とするものがあるのでしょうか。
一方で、第2次改造内閣発足後の初めての閣議では、内政も外交も課題に直面しているとして、「難局突破」と「政策断行」に邁進するとの基本方針を決定したといいます。また、国民の声を聞きながら『信頼と共感』を得る政治を行わなければならないとしたそうです。この課題が多い難局を突破していくためには、『信頼と共感』の醸成が欠かせないということなのでしょうか。
論語に学ぶ
子貢(しこう)、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず、と。
子貢曰わく、必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、兵を去らん、と。子貢曰わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず、と。(「顔淵第十二」7)
弟子の子貢が為政者の心構えを質問しました。孔子は「民の生活の安定、十分な軍備、そして政権への信頼である」と答えます。
すると子貢は「三者のうち、どうしても棄てなければならないとしましたならば、まずどれでしょうか」と質問します。孔子は「軍備だ」と答え、子貢はさらに「では残った二者のうち、どうしても棄てなければならないときは、どれでしょうか」と質問します。孔子は「生活だ。古来、人間はいつか必ず死ぬ。もし為政者への信頼がなければ、国家も人も立ち行かないのだ」と教えたといいます。
孔子の優先順位は、「信」「食」「軍」ということでしょうか。
変革を望めば、改革を断行すべきなのかもしれません。しかし、どれを選択するかはリーダーの信奉によるものなのでしょう。前例主義ではないですが、これまでの慣習に従えば、首相の選択も間違いではないのかもしれません。
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消費者担当相に任命された河野太郎氏が記者会見で、旧統一教会を巡る霊感商法への対応について「消費者庁の中で検討会を速やかに立ち上げたい」との考えを示したといいます。
消費者庁に霊感商法の検討会設置へ 河野太郎担当相 - 産経ニュース
これが無難なところなのでしょうか。FNNによれば、河野大臣は、霊感商法の問題点について、消費者契約法の中では、デート商法などと横並びで、規制の対象となっていものの、最近は「寄付のほうが主流になっている」との認識を示したそうです。
消費者被害からアプローチし、「範」なり「倫理」を再構築していくべきなのかもしれません。
時の政権下にあって、政治不信、薄れゆく信頼を回復していくには、これしかないのでしょうか。
保守にリベラル、その他諸々、人それぞれで信奉することが異なるのでしょう。それは政治家においても同様で、そうした信条に従い選挙公約も作成されているのでしょう。
そして、それをもとに選挙で選ばれた人であれば、公約から大きく逸脱しない主張であれば、それはそれで間違っているとすることも筋違いなのかもしれません。難しい問題です。
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多様な価値観が存在するようになっています。それぞれがそれぞれに尊重されるべきなのでしょう。こうした現実に見合う規範やモラル、倫理を再構築する必要がありそうです。そうでないと、極端な排斥や分断になってしまうのかもしれません。そんなことを今回の騒動から感じます。