「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

盗んだ農作物を平気で転売する国、フィンランドへの電力供給も止める

 

 ロシアがウクライナで略奪した大量の穀物を、支配するクリミア半島を経由して地中海沿岸の各国へ輸出を試みているといいます。JIJI.COMによれば、ウクライナの事前通報で、穀物を積んだロシアの貨物船は寄港を拒まれたそうです。

ロシア、略奪穀物を輸出か エジプトなどで寄港拒否:時事ドットコム

 穀物の出所を偽装するため、他の船に積み替えて再び輸出を図る恐れもあるといいます。良心のかけらもなく、いつまでも蛮行を繰り返せば、ただ信用を失い、悪影響を残します。

 

 

 小麦の供給が逼迫し、食糧危機を招きかねないといわれます。インドが即時の小麦の輸出を禁止したといいます。

インド、小麦輸出を即時停止-国内の食糧安全保障を優先 - Bloomberg

 無理からぬことなのかもしれませんが、みなが自国優先になってしまえば、さらに状況は悪化しかねません。

論語に学ぶ

「徳孤ならず、必ず鄰(となり)有り」(「里仁第四」25)といいます。

 孔子は乱れた世の中で、道徳の理想を貫くことは、一見孤立無援のたたかいのようだが、もともと普遍ていなものである道徳には必ず同行者、理解者つまり友があるということを確信、それを表明しているといいます。

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「徳」とは、道徳のことを指すといいます。

「道徳とは特定の社会の風習を踏まえて、その法則的理念化として生まれるものである。したがって道徳が個人的特殊性の中に限界づけられるということは、矛盾であり、ありえないはずである。しかし、現実社会では道徳は個人を媒介にしてしか発現されることはなく、そのさい個人のもつ内外の諸条件によって、変容することもまた明らかである」。(引用:「論語桑原武夫

「徳」、道徳から外れれば、人が去り、孤立無援になってしまうことなのでしょう。一方で、不徳が繰り返えされ、それを許容することがあれば、道徳が変容してしまう危険があるのかもしれません。

 

 

 ロシアが隣国フィンランドへの電力供給を停止するといいます。フィンランドNATOへの加盟申請方針を発表した、報復の可能性があると共同通信が報じています。

ロ、フィンランドへの送電停止へ NATO申請で報復か | 共同通信

 ロシアのプーチン大統領は、フィンランドの大統領と電話会談し、NATOへの加盟は「過ちになる」と批判し、中立政策の放棄は両国間の友好関係に悪影響を及ぼす可能性があると警告したといいます。

 ロシア、プーチン大統領の行いは、「徳」ある行為なのでしょうか。

 失敗や不都合なことが生じたとき、人は「不徳の致すところ」といい、自分が至らないせいだとします。昔の人はよくいったものです、的を得ているのでしょう。

 

 

宰我(さいが)問うて曰わく、仁者は之に告ぐるに井(せい)に仁有りと曰うと雖(いえど)も、其れ之に従わんや、と。子曰わく、何為れぞ其れ然(しか)らん。君子は逝かしむ可(べ)きも、陥らしむ可からず。可きも、罔(し)う可からず、と。(「雍也第六」26)

「人が井戸にはまった、と聞くと、それはきわめて重要なことだから、情報に多少の疑いがあろうとも、相手の言葉を信じて飛び出す。君子は猜疑心があってはならない。しかし、彼の判断力はいつも曇らない。井戸の側まで来ても、いきなり飛び込んだりはしない。生命を救うことが大切なので、泳げもしない自分が、暗いところへ飛び込んで二人とも死んでしまうのは、愚かしいことである。ロープを下すなり、壮漢をよぶなり、状況に応じた適切な処置を機敏にやるけども、軽挙盲動はしない。もちろん勇気がないからではない」と、桑原武夫はこの章を解説します。

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 フィンランドのような国が助けを求めれば、それに応じるのが、徳あるものということなのでしょう。それでも、無謀な賭けには出てはならぬということのようです。

 しかし、軽挙妄動に走ってしまう人物を抑えることには困難なのかもしれません。諫めることはできても、その行動は当人にしか抑制することはできません。やはり徳を積なければ、人は愚かなことを犯してしまう危険性があるということなのでしょうか。

 

「参考文書」

CNN.co.jp : 地中海の港、ロシア商船の入港拒否 ウクライナから盗んだ穀物積載か - (1/2)