「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

テックの終焉か、繰り返されるバブルとその崩壊

 

 潮の満ち引きがあるように、世の中も変化が起きるものなのだろう。潮目の変化は避けえない。好景気に沸き、それを謳歌していれば、どこかで転機が訪れる。品薄になり、物価が高騰するというサインが現れれば、過熱感を冷まそうとする力が働く、ごく自然なサイクルなのだろう。

 ここ最近の米国の株価を見ていると、テックバブルの崩壊の始まりのように映る。米国の金利上昇で、それが重石となって、テック企業の先行きに雲がかかる。時代は移れど、バブルはどこかで生じては崩壊を繰り返している。こうしたことで潮目が変わり、あるものは淘汰されてゆき、あるものが社会に定着していく。

 

 

 10年前に70円代の値をつけていた「円」も、それ以降円安基調になり、すっかりとその価値を失ってしまった。円安が続けば、円高だった頃が懐かしくもなる。

一国の通貨が強くなるということは、経済力や国力が高まっている証拠である。国民の生活もどんどん豊かになっているわけで、歓迎こそすれ忌避するものではない。(出所:日本経済新聞

円安に逃げて、円安におののくお粗末さ(澤上篤人): 日本経済新聞

 しばらく前までは、円高スイスフラン高が双璧をなして、国力の高まりを謳歌していた。ところが日本は円安に逃げ、見る見るだらしなくなっていったと日本経済新聞は指摘する。

 プラザ合意以降の円高基調時には、効率の改善を図り、生産性を向上させては、国際競争力を高めていった。それが原動力になって、強い日本経済を支えた。厳しいけれど、極めて健全な適者生存の経済運営を日本企業は先導していたという。しかし、いつしか企業は、円安を望むようになり、自助の精神は薄れ、生産性は悪化一途をたどっていく。

 一方、フラン高のスイスは通貨高に対応すべく産業強化の努力を重ね、スイス国民はどんどん豊かになったという。その最たる例が観光業も現れているという。他方、「日本は円安、つまり割安さによって、海外からの観光を誘っている。いわば安売りだ」、悔しいが、的を得た指摘なのかもしれない。

論語に学ぶ

子曰わく、甚だしいかな、吾が衰えたることや。久しいかな、吾(われ)復(また)夢に周公見ず。(「述而第七」5)

 衰えること甚だしい。もう長い間、周公の夢を見なくなっていると孔子がいったという。

「周公」とは、殷王朝を打倒し、周王朝を建てた武王の弟旦のことで最大の功労者と言われる。首相格として首都に残って政権を輔佐し、諸制度を整備したという。孔子はその周公の行政を理想としていたといわれる。

dsupplying.hatenadiary.jp

 理想とするものがあるから、それに近づくこともできる。理想とする姿を見失えば、途方に暮れる。

 

 

「呪文のようにSDGsと唱えるだけで、ブームに終わっては仕方がない。仮にSDGsのコンセプトが廃れたとしても、ソーシャルグッド(社会に対して良いインパクトを与える活動)を続けていきたいという思いもある」、そう話す三谷産業の社長の言葉を朝日新聞が紹介している。

株主優先から「みんなの資本主義」へ 企業統治をどう問い直すか:朝日新聞デジタル

「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」という言葉を最近よく聞くようになった。環境配慮やSDGsを装うだけで、中身の伴わない企業を指すときに使われる言葉という。それはグリーンバブル、SDGsバブルが始まっていることを意味するのかもしれない。いずれバブルは崩壊する。その前に、その精神を真に社会に根付かせることはできるのだろうか。