子貢曰わく、夫子(ふうし)の文章は、得て聞く可(べ)し。夫子の性と天道とを言うは、得て聞く可(べ)からざるなり。(「公冶長第五」13)
(解説)
「子貢の回想。孔子から古典学は学ぶことができた。しかし、本質・実態とか普遍的なるものは学ぶことができなかった。」(論語 加地伸行)
「性」については、論語の中で、「性は相近く、習は相遠し」(「陽貨第十七」2)と一回いっただけであり、また、「天道」という言葉はどこにもなく、ただ「天何をか言うや、四時行われ、百物生ず。天何をかいうや。」といったのみである。
自分は天命を受けた以上、暴力によって滅びるものではない、という自信は堅持していたけれども、天道は是か非か、について確定的な答えを出していないと 桑原は解説する。
(参考文献)