「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

安倍派幹部に「離党勧告」か、自民党政治とは何だったのだろうか

 裏金議員の処分がようやく具体化しそうです。安倍派幹部に当初検討していた「選挙での非公認」ではなく、「離党勧告」する方向で動き始めたといいます。

裏金処分、離党勧告を検討 自民、安倍派幹部の一部に | 共同通信

安倍、二階両派の議員を80人規模で処分するといいます。これで自民党政治への信頼が回復するのでしょうか。幹部を含めそれぞれが大なり小なり脱法行為に行っていたことが明るみになったのが今回の事件はずです。謙虚さや良識を失ったリーダーたちが人を裁くことに疑問を感じたりします。

 

 

「政治とカネ」、カネで選挙を操作しようとしたり、特定団体と癒着してまで政権を維持しようとしたことが、政治の衰退を招き、この国を衰退に誘ってきたように感じます。

 選挙目当てのバラマキ、それによって生じた弛緩しきった財政規律。デフレ経済をアベノミクスでは救えず、賃金も物価も硬直した「古い日本経済」、「賃金が上がらないから我慢して働くべき」という通念を変えるきっかけになったのは「輸入価格ショック」でした。

 よくよく考えてみれば、その間に布いた無理が今になって様々な害となって顕在化しているのでしょう。その例を挙げたらきりがありません。「人権」、人間の生存にとって欠くことのできない権利と自由を軽視する姿勢などがその最たるものなのでしょう。自民党による政治支配の弊害といっていいのではないでしょうか。

保守政治

 小選挙区制が導入され、一度は政権交代がありましたが、一方で、それ以降、国会議員の「小粒化」が進んでいるとの指摘もあるといいます。それ以前の議員は、戦争を体験した人も多く、戦後混乱期から日本を立ち直らせるため、良識と矜持を働いていたといいます。そんな時代を知る元自民党議員たちも現況を憂いているようです。

政治とカネ「世論を大切に落着いて制度改革を」伊吹文明元衆院議長 党内の気のゆるみ懸念 - 産経ニュース

正しい自由主義と民主制の下に、時代に適さぬものを改め、維持すべきものを護り、秩序のなかに進歩を求める。(出所:読売新聞)

 自民党の綱領にはこうあるそうです。これを起草したのは伊吹元衆議院議長。戦争を知る議員ですが、すでに引退されています。

 自民党は下野した当時、民主党政権との対立軸を打ち出すために、「常に進歩を目指す保守政党」、今までの自民党にはなかった保守という文言を使って綱領を作ったといいます。これが今の自民党憲法になっているそうです。ただ伊吹氏は民主党の対立を意識し過ぎて、反リベラルで保守色が強すぎたのではないかと反省もあると語ってします。

 

 

「保守とは謙虚な思想である」「伝統的な日本人の生き方や規範を尊重しながら秩序ある漸進的な改革を目指す保守主義」。「将来予測が難しい激動の時代だからこそ、保守の理念を大切に」と伊吹氏は語ります。

 先人たちの知恵も、次なる世代がそれを誤用、悪用してしまうこともあるのでしょう。民主党政権が倒れた後の政治は、綱領起草者の思いを踏みにじるものになっていったようです。そして、その成れの果てが裏金事件だったのでしょうか。

論語に学ぶ

中庸の徳為る、其れ至れるかな。民 鮮(すく)なきこと久し。(「雍也第六」29)

 中庸の徳は、この上ないもの。しかし、人々は中庸を欠いて久しいと、孔子は言いました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「中」は偏らず極端ではなく、過ぎたると及ばざるとのないこと。「庸」は平常、あたりまえで変わらないこと。社会において突出するような行為をきらい。庸徳庸行を尊ぶの孔子の考えといいます。「中庸」は洋の東西を問わず、道徳や倫理の根幹の考え方です。

 

 

 過ぎれば極端となり偏りとなってしまうのでしょう。それをイデオロギーに結びつけて対立し、それが国力衰退の遠因になっているとしたら残念なことです。それは国政ばかりでなく、地方政治においても同様なことが言えそうです。政治を変えていかなければならないのでしょう。対立を煽るのではく、国民生活をいかに向上させるのか、それを第一として建設的な議論を重ねて「大いなる妥協」を目指すようになって欲しいものです。

 経済が回復する兆しを見せています。企業が業績を伸ばし賃上げが進めば、税収増も期待できます。政治を変えていくタイミングなのかもしれません。財政規律を回復させ、限られた財源を有効活用するため、ターゲットを絞り重点的に手当てする工夫も必要になっているのでしょう。財政健全化と未来への投資を両立させる知恵ある政治が求められていそうです。解決しなければならない課題が山積みになっているのですから。

 

「参考文書」

自民党は保守政党か、伊吹氏は「ちがう」…重鎮はなぜ「保守政治」を打ち出したのか : 読売新聞

[時代の証言者]保守の旅路 伊吹文明<1>政治家37年 良識大事に : 読売新聞

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