「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

「老害」か、古参議員のぼやき、進まない世代交代、進化する世代間ギャップ

 大災害や戦争の記憶、東日本大震災福島原発事故、広島・長崎への原爆投下、東京大空襲、敗戦、それらを経験した人が語り部となって、その教訓を後世に伝えていきます。先に生まれた者の役割のひとつなのでしょうか。経験し他を導く先輩、先達がいるからこそ、過去を知るという学びの機会を得て、知らないことを知り得たりするのでしょう。

 世代間論争などに熱を上げるのではなく、自分より多くの経験を持つ先輩、歳を重ねた高齢者にちょっとばかり感謝してもいいのではないかと思ったりします。いずれ自分もその年齢に到達するのだから。

 しかし、「老害」があるのも現実なのでしょう。バイデンとトランプによる再対決になりそうな米国の大統領選もそうなのでしょうし、日本においても森元首相や二階元幹事長による長老支配がそうなのかもしれません。

 

 

政治責任は全て監督責任者の私自身にあることは当然だ」、自民党の二階元幹事長が、次期衆院選に出馬しないことを表明しました。

「年齢に制限があるか?ばかやろう」と毒づいた二階俊博氏は85歳 確かに自民党の選挙区候補に定年はないが…:東京新聞 TOKYO Web

その記者会見で、二階氏は自身の年齢も不出馬の理由に入るのかと問われ、「年齢に制限があるか? お前もその歳、来るんだよ」と語り、「ばかやろう」と小声で吐露したといいます。

老害」のように感じてしまいます。これでは後進が敬い、感謝することもなく、良き後進が育つこともなさそうです。そっぽを向かれるだけです。

論語に学ぶ

吾 十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)う。七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず。 (「為政第二」4)

 私は十五歳になったとき、学問に志し、三十歳になって世に認められ自立することができた。四十歳のとき、自信がつき、自分の生き方についてもう迷うことはなくなった。五十歳を迎え、天が自分に与えた使命をさとるようになった。その後、苦難の道を歩んだ経験からか、六十歳ともなると、自分と異なる思想を聞いても、それが素直に耳に入り、いちいち反撥しなくなり、また相手の細かい気持ちまで分かるようになった。七十になると、自由の境地に到達したのか、自分のこころの求めるままに行動しても、規定・規範からはずれることもなく節度を失うようなことがなくなったと、孔子は言いました。

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 長老たちが孔子のような面持ちを持てれば、よき先達となって後進が育ち、日本の政治が善きものになっていきそうな気がします。しかし、いつまで権力やカネに恋々とし、その影響力を行使しようとするの現実のようです。

老兵は死なず、ただ頑張るのみ」、中曽根元首相が80歳を超えても現役続行宣言したときのことばだそうです。その後、周囲の反対を押し切って総選挙に出馬したといいます。こんな伝統が脈々と自民党では引き継がれてきたのでしょうか。

 中曾根氏の言葉は、敗戦後日本を統治していたGHQダグラス・マッカーサー元帥の「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」をもじったものです。マッカーサーの言葉は、頑固一徹な軍人魂の象徴として使われるといいます。

 

 

 こうしたことが秩序を崩壊させ、「高齢者集団自決」のような言説がはびこらせ、おかしなルールや習慣になったりするのではないでしょうか。

成田悠輔氏の広報起用批判受け 内閣広報室、各省庁に「人選慎重に」 | 毎日新聞

 孔子の言葉を一個人の成長過程と捉えずに、各世代の人間が社会には存在し、各々がそれぞれに想いを抱え生きているとみることできれば、長老たちも後進に率先して道を譲る気にもなれるのかもしれません。

 今どきの若い者ということもなく、「後生畏(おそ)るべし」、若い人は恐るべきとなって、自分より及ばないなどとみることもなくなり、時代をアップデートしていくのは常にそうした若者であると思い出すこともできるのではないでしょうか。

 若者を侮らず、学びと経験の機会を与え、それぞれの世代が活躍できるようになれば、社会がもっともっと活性化していきそうな気もします。年長者が培った人間性、ヒューマニティを発揮し、若年者を慈しみ、愛育し、機会を与え、そうできるのなら、若年者が自然に年長者を敬うようになり、その教えに感謝するようになっていくのかもしれません。それが古来よりの秩序であり、その逆の論理はないのでしょう。しかし、現実は厳しそうです。

 

 

古い船には 新しい水夫が乗り込んで 行くだろう

古い船を 今 動かせるのは古い水夫じゃ ないだろう

なぜなら 古い船も 新しい船のように新しい海へ出る

古い水夫は 知っているのさ新しい海の こわさを (引用:「イメージの詩」吉田拓郎

 

「参考文書」

首相、老害発言「極めて不適切」 成田悠輔氏巡り | 共同通信

因縁の首相に突きつけた「けじめ」 二階氏、引退宣言の“含み” | 毎日新聞