「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

33年ぶりに5%超となった賃上げ、明るいムード、日本経済は好循環するのか

 春闘で満額回答が相次ぎ、ここまでの平均賃上げ率が5.28%と33年ぶりの高水準になったそうです。

 連合の芳野会長は「経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を図る正念場」と強調し、「これからが本当の正念場。中小企業や組合のない職場で働く人を含むみんなの賃上げを実現しなければならない」と述べたといいます。 

春闘の平均賃上げ5%超、33年ぶりの高水準-日銀正常化へ環境整う - Bloomberg

「30年続いたコストカット型経済から、いよいよ次のステージに移行していくために良い動きを確認できた」と首相も述べ、こうした傾向が中小企業でも継続できるよう、あらゆる手を尽くすと語ったそうです。

 

 

 外的要因の物価高が始まり、賃上げとの「掛け声」が政労使で叫ばれての結果です。このまま定着し、持続的なものにならなければ好循環になりません。「掛け声」だけでは厳しいように思われます。企業の体質とマインドが変わらなければ、どこかで息切れすることになってしまいます。

 兎にも角にも、こうした明るいムードの中、日銀は次週の政策決定会合でマイナス金利の解除に踏み切るのでしょうか。「金利ある世界」、金融政策の正常化によって、今後、円や株価にどんな影響を与え、その動きにどうなっていくのか気になります。

論語に学ぶ

古(いにしえ)の学ぶ者は己の為にし、今の学ぶ者は人の為にす。(「憲問第十四」24)

昔の学ぶ者は、自己を鍛えるために学び、今の学ぶ者は、他人から名声を得るために学び努めていると、孔子は言いました。

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 満額回答が相次いだのが、周囲の目を気にしての結果だとすれば、先々が心配になります。慎重姿勢だった企業に政府、財界、労組が掛け声をかけることは悪いことではないにしても、よくよく考えもせずにそれに従っていてはちょっと危険なような気もします。企業がすべきこともわからずに盲目的に指導的な立場の人に従うようになれば全体主義的な傾向にも思えたりします。まずは自らを奮い立たせて持続的な賃上げを実現できる体制へと変容していくことが求められていそうです。

 

 

哲学者の三木清が『人生論ノート』の中で「部下を御してゆく手近な道は、彼等に立身出世のイデオロギーを吹き込むことである」、そして「成功主義者ほど御し易いものはない」と書いています。(出所:Executive Foresight Online:日立)

 自分で考えて、自分の内なる正義に照らして行動しなければ、容易に他者にコントロールされるようになり、不正や悪事、どんなことも働きかねないといいます。

 掛け声をかける経団連は、政府自民党にべったり癒着し、問題の企業献金を止めようとする気配すらありません。自民党は裏金事件で揺れ、国会ではその追求に明け暮れ、政治改革は進んでいません。

 みなが周りの目を気にして、自分の居場所がなくなるを恐れて口をつぐんでしまえば、実態解明は進みません。これまでの自民党の常識に疑い持つ人が現われ、それを覆す勇気ある人が登場しない限り、この政治改革は進むことはないのかもしれません。

 内部から問題に対する発言があってこそ解消に向かうはずです。問題を抱えたまま何ら進展しない組織に苛立ち、不満を感じてそこから離脱してもいいのかもしれません。こうした離脱や発言がなければ組織はいつまでもそのままで修正されずにどんどん悪化していきます。

 自民党という組織を守ることが、もう自分のためにならないと議員たちが自覚すべきなのでしょう。これだけ世の中からおかしいという声が上がっているのですから。

 世論の関心の高い選択的夫婦別姓同性婚の問題などの解決が一向に進まないのに、防衛力強化や防衛費増額の問題は一気に解決が進んでいきます。自民党の根深い問題がだいぶ白日の下にさらされるようになってきたようにも感じます。

 自民党が変わり、政治が変わって欲しいものです。多少の混乱はあるかもしれませんが、その先にほんとうの好循環がありそうな気がしますし、もっと明るいムードに包まれるようになるのではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

春闘での高い賃上げ率に満足せず労働生産性向上の取り組み継続を|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

自分の人生を生きる ソクラテス、アドラー、フロムに学ぶ「勇気」 【その2】人類を信頼して、声を上げる勇気を - Executive Foresight Online:日立