満額回答相次ぐ、春闘の集中回答日だった昨日、大手企業を中心に高い水準の賃上げが実現したとの朗報が流れていました。政府の掛け声もあってのことなのでしょうか。このままこの流れが持続して欲しいものですが、懐疑的な見方をする専門家いるようです。
本来、輸入物価の上昇は、国民所得を減少させ、日本経済には逆風だ。そうした「災い」がきっかけとなって、物価上昇が賃金上昇に転化させることで持続的な物価と賃金の上昇が生じ、実体経済を改善させるといった「禍を転じて福と為す」の展開の可能性を期待するのは、楽観的過ぎるのではないか。(出所:野村総合研究所)
こうした状況を安易に「賃金と物価の好循環実現」と理解べきではないだろうといいます。実質賃金の改善にはもうしばらく時間がかかるとの見方をしているようです。
そうなのかもしれませんが、明るいニュースがない中、束の間、その余韻に酔いしれたいと思ったりします。
世の中にもっと明るいニュースが溢れるようになって欲しいものです。そのためにはもうしばらく忍耐の時間が必要なのでしょうか。
小型ロケットカイロス打ち上げ失敗
宇宙スタートアップ「スペースワン」の小型ロケット「カイロス」初号機が打ち上げ直後に爆発しました。かつては技術立国として、その高い技術力を誇ったものですが、近頃は技術力向上のスピードが明らかに世界に比して遅くなっていそうです。
スペースワンの小型ロケット「カイロス」爆発、打ち上げ直後に - 日本経済新聞
これから原因究明されるとのことですが、爆発は飛行中断措置によるものだったようです。
このロケットは、政府肝入り事業を多く手がけるIHIの子会社がエンジン部品などを担当し、キヤノン電子が駆動系や電子制御に関わる部品の一部を供給していたそうです。このロケットには内閣府の情報収集衛星機能をもつ小型衛星が搭載されていたといいます。
このスペースワンというスタートアップには、このIHIの子会社、キャノン電子の2社の他、清水建設や三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行などが出資しているそうです。
政府は、1兆円規模の宇宙戦略基金を創設し、官民の打ち上げ能力を年間30件程度確保することを目指しているそうです。米国、中国、ロシアにインドなどが先行し、これ以上引き離されまいと焦っているのでしょうか。
論語に学ぶ
子貢曰わく、貧にして諂うこと無く、富みて驕ること無くんば、如何、と。子曰わく、可なり。未だ貧にして楽しみ、富みて礼を好む者には若(し)かざるなり、と。子貢曰わく、詩に云う、切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し、と。其れ斯の謂いなるか、と。子曰わく、賜や、始めて与に詩を言う可きのみ。諸に往を告げて、来を知る者なり、と。 (「学而第一」15)
弟子の子貢が孔子に「貧乏であっても媚び諂うことなく、金持ちであっても高ぶらないというのはいかがでしょうか」と、孔子は「いいことだ、しかし、貧乏でありながら楽しく暮らし、金持ちであっても「礼」世の道理を好む者には及ばないだろう」と答えました。子貢は、すぐさま『詩経』「衛風」の「淇奥(きいく)」の第一章を想起して「切磋琢磨」とはこのことを言うのでしょうかとたずねました。孔子はいたく喜んで、「お前はいっしょに詩の話ができる人間だ」とほめ、「その先のことが見える力がある。言葉を、次元を変えて飛躍的にとらえることのできる頭脳の持ち主だ」といいいました。
子貢は諂いと驕りのないことを最高と考えていたようですが、孔子に教えられて、学問の道には終わりがないことを悟って、「切磋琢磨」の詩を引用したのだといわれます。
「切磋琢磨」、道徳をいやがうえにもみがくという意味の他、単なる孤独の瞑想ではなく、群居して、朋友が相互に錬え合うこととの意味もあります。
子貢のような頭脳明晰な人物が今の日本には少ないのでしょうか。互いに競い、鍛え合うということを忘れては、技術だけでなく何においても世界から大きく遅れるようなことはなってしまったのかもしれません。ついつい過去の栄光にいがみついたまま高ぶって堕落し、不義に走ることが多くなっているのでしょうか。
国会では政権与党自民党の不祥事の追求が続いています。過激ダンスショーについては会合を主催した和歌山県議の「多様性」発言を巡って質疑があり、首相も答弁する事態になったようです。
自民の女性ダンサー会合「多様だったのはコスチューム」と立民・塩村文夏氏 岸田首相も「多様性と合致せず」:東京新聞 TOKYO Web
残念なことです。こんなことに貴重な時間を費やさなければならなくなっています。議員たちにはもう少し自覚をもっていただきたいものです。多弱な野党を批判するのもそうなのかもしれませんが、それ以上に与党自民党を追求、批判しなければならないのでしょう。自民党が変わらない限り、切磋琢磨もありえないのでしょうから。
政治を経済をよりよいものにするためには、良い意味での競い合いが必要なのでしょうが、今はそれが薄れていないでしょうか。
「参考文書」
春闘 大企業中心に高水準の賃上げ妥結相次ぐ 中小企業や非正規で働く人への波及が焦点に | NHK | 春闘
トヨタ、4年連続の満額回答 最高水準の賃上げ最大2.8万円 | 毎日新聞
日銀マイナス金利政策解除の歴史的瞬間が近づく|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
スペースワンの小型ロケット、打ち上げ直後に爆発-関連銘柄下落 - Bloomberg