「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

日経平均株価急落、生活実感を伴わない株高のあやうさ

 日経平均株価が大きく下落しました。足元で円高が一気に進んだことが理由のようです。日銀が今月の金融政策決定会合で金融緩和策を修正するとの憶測で円高が進み、それが株価に影響したようです。

TOPIXが一時3%超下落、日銀修正観測や米ハイテク株調整で売り - Bloomberg

 差し当たって市場関係者はこの動きを調整と見ているのでしょうか。いずれにせよ、円の方向性とどのレンジで落ち着くか次第のようです。想定以上に円高が進むともう一段の調整がありそうですが、企業が改革期待を維持できるか次第なのかもしれません。

 

 

 生活実感が伴わない株高といわれています。好調なのは一部大企業のみのようです。トリクルダウン的な好循環で、日本の隅々までに恩恵が行き届くようになればいいのでしょうが、あり得るのでしょうか。それとは別に、好循環を生み出すような力があればいいのでしょうが、個人消費が低迷する中にあってはなかなか厳しそうな気もします。

スキマバイト

 フリマアプリ大手のメルカリが、最短1時間から働けるスポットワークサービス「メルカリ ハロ」をスタートさせました。本人確認や銀行口座登録を済ませれば、面接や履歴書なしで求人に応募できるそうです。

空き時間に「スキマバイト」登録者数700万人…3割は会社員 普段と違う仕事にやりがい

 人手不足や物価高を背景にスポットワーカーが近年急増し、およそ1000万人に上るそうです。スキマバイトは学生以外にも広がっているそうで、登録者のおよそ3割を「会社員」が占めているといいます。

 空き時間の有効活用で、ちまちま稼いで『チリツモ』で収入を増やす人がいたり、「本業ではできない仕事ができる」ことに魅力を感じて始める人もいるそうです。

 この種のサービスでは「タイミー」が先行しているといいます。需要があると大手企業も参入を始めるようです。人手不足解消、物価高対策、それなりの社会的意義もありそうですが、ちょっと考えさせられる事態のようにも感じます。

 

 

 経済が好循環下にあって、未来においても明るい見通しがあれば、心に余裕が生まれて、そんなにあくせく働くこともなくなっていくように思いたいのですが、現実はなかなかそうならず、理想から遠ざからばかりのようです。

 かつて経済を支えていた中間層が消滅し、二極化が進み、格差社会がすっかり定着してしまったのでしょうか。トリクルダウン理論を信奉したかつての政府の失政の結果が今の社会に現実となって現れているように思います。

女子大生の夢は世帯年収3000万 生きづらさ増す国と若者たちの苦悩:日経ビジネス電子版

「私」たち大人は、カネさえあれば常に人生が豊かになる、というほど人の心は簡単じゃないことを知っているはずなのに。心よりカネ、とにかくカネ、とカネの万能感を追い求めている。その末路が、若者の生きづらさ、だ......(中略).......これだけ賃金が上がらない、四六時中働いても「普通の生活すらできない」社会で生きる大人が、カネに絶対的価値を置くのも、ある意味においては理解できる。(出所:日経ビジネス

 若者たちの心が荒むほど痛々しいことはありません。これでは将来が未来がますます暗澹たるものになっていきそうな気もします。これこそが真っ先に解決しなければならない社会課題に思えてなりません。

論語に学ぶ

子 罕(まれ)に利を言うとき、命(めい)と与(とも)に、仁と与にす。(「子罕第九」1)

 孔子もたまに「利」について語るが、その場合には必ず「命」あるいは「仁」と与にした、と意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 一身の利益を図るのではなく、君子は天下のために利を図るべきであって、もし道が民を利することのないものであるのなら、それは道ではないと孔子は考えていたようです。そう考えるのも、個人的な利益に走る者たちが上へ上へとのし上がっていく一方で、多くの民が疲弊する現実があったからなのでしょうか。

 

 

 しかし、どんな時代にあっても孔子同様に考える人物は必ず登場するようです。現代経営学の父とも評されるP・F・ドラッカー、「マネジメント」をはじめて体系化し、個人や組織、社会のあり方などを説いた人物です。

「利益を上げっていた先にあるのが人々や社会の幸せ。それこそが真の企業活動の目的」と説きます。

 もう一度ドラッカーが見直されてもよいのではないでしょうか。そうなれば、賃上げ問題は立ちどころに解決し、日本経済も好循環していきそうなが気がします。しかし、そう単純にいかないのも現実なのでしょう。何せ、孔子の時代から繰り返されている課題なのでしょうから。

 

「参考文章」

日経平均株価が千円を超える大幅下落:日銀の政策修正を契機に円安・株高サイクルは逆回転を始めるか|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)