国の借金が2023年末時点で1286兆4520億円となり、過去最大を更新したそうです。昨年から29兆4528億円増えたといいます。物価高対策や社会保障費の伸びなどによる歳出膨張を税収などの基本的な収入で賄えず、国債頼みの予算編成が続いているといいます。
国の借金は過去最大1286兆円 23年末、物価高対策響く | 共同通信
国債頼みの財政には賛否両論があるようです。それぞれそれなりの論拠はあるのでしょう。しかし、歳出を拡大させ、バラマキをやったところで思い通りの経済的効果を得られていないというのがこれまでだったのではないでしょうか。屁理屈をつけて、同じことを続けても同じ結果しか得られないような気もします。
「今度こそ日本経済をデフレ、デフレマインドから脱却させたい」「コストカット型経済」を変える最大のチャンスと首相を筆頭に国も意気込んでいるようです。
デフレで染み付いた「コストカット型経済」を変える最大のチャンス:日経ビジネス電子版
株価は大きく上昇、賃上げへの期待も膨らませています。国内投資が伸びて、さらに賃金もあがっていくようになれば、好循環となり、デフレからの完全脱却が可能となる....それが政府の目標、皮算用のようです。そのために政府は先行投資や省力化投資などを促す予算・税制・規制措置を大幅に強化し、賃上げや企業の価格転嫁を後押しするといいます。また、首相肝煎りの所得税・住民税の減税が今年6月に実施され、これまでの常識を変え、意識を変えていくといいます。
こうして予算は肥大化していきます。しかし、期待通りに経済は成長せず、株価は過去最高を更新することはありません。国の収入は伸びないのに借金ばかりが成長していきます。そして増税との声が上がります。さて、この先、どんな結果が待っているのでしょうか。
論語に学ぶ
奢(しゃ)なれば則ち不孫(ふそん)、倹なれば則ち固。その不孫ならんよりは、寧(むし)ろ固なれ。(「述而第七」35)
驕り奢(たか)ぶると出過ぎた不遜となる。倹約すぎると自分の殻に閉じこもり固となる。どちらも行き過ぎで好ましくはないが、他者にとって不愉快な不遜であるよりは、個人の問題になる固のほうがまだましだと、孔子はいいました。
何事においてもバランスが大事ということなのでしょう。驕り高ぶって、過度に立派なことをしようとして散財を重ねてきたのがこれまでなのでしょうから、少しばかり倹約方向に寄せて、バランスを試みてみれば違った結果も期待できるような気がします。
国が出過ぎた行為に走るのではなく、倹約に徹し、国が抱える問題の解決に専心すべきなのでしょう。また企業もバラマキに過度に期待するのでなく、自ら戦略を描き、実行していくべきなのでしょう。
民主党政権当時始めた「事業仕分け」が「行政事業レビュー」という形となって今も続いているといいます。かつては国の各事業の「廃止」や「予算縮減」などを判断したといいます。民主党が下野してからは「行政事業レビュー」と名を変え、税金が無駄なく使われているか外部有識者の目を入れながらチェックし、改善を促すようになったといいます。
予算のムダを斬れ! 「行政レビュー」の効果と限界【政界Web】:時事ドットコム
レビューは有識者から厳しい意見が相次ぐが、民主党時代の事業仕分けと異なり、「廃止」や「予算縮減」といった判断は下さない。つまり、改善の方向性を指し示すにとどまり、基本的に政府の予算編成の中で決定される。(出所:時事ドットコム)
折角、仕組みがあるのだから、それを上手に活用し、効果測定すると同時に「やらないこと」を決めれば、効果があることにのみ税金が使われるようになり、予算の肥大化の防止にも役立つのではないでしょうか。また、そうすることによって、将来不安が解消し、生活水準が着実に改善し、希望ある未来の実現に資することに重点的に予算配分されるようになっていくのでしょう。たとえば、それが少子化対策であったりするのではないでしょうか。
いずれにせよ、一番の税金のムダ使いは今日では「政党助成金」なのかもしれません。
カネの本音、語れぬ自民党 平成の政治改革が残した宿題 - 日本経済新聞
選挙にはカネがかかると言い訳しては、チエを働して改善しようとせず、ただお金を使途不明なところで浪費されていそうです。それが選挙には有効なのかもしれませんが、かといって勝ったところで、現実の政治は何も変わりません。その上、ことある度に増税との話を聞かされますが、肝心要の経済は浮揚せず、生活水準の向上にも役立つことはないようです。
政府が企業や国民に、これまでの常識を変え、意識を変えていくことを求めるのではなく、まず自らが意識を変えていかなければならないのでしょう。お金は十分ではないと心得、倹約に徹し、困ることでチエを働かすような習慣をつけるべきなのでしょう。
「参考文書」
スーパー、増える特売 節約志向でビールなど食品3割 - 日本経済新聞