「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

裏金事件、悪の巣窟化する政治、エゴイスティックな議員たち

 自民党の裏金事件が白日の下にさらされ、その悪質性が明らかにされました。しかし、立件できたのはごくわずかということで一旦幕引きになりました。国会議員たちによって作られた法がざるだったということが理由と言われます。これが現実のようです。

 疑惑の渦中にあった議員たちが説明責任を果たすためなのか、続々と口を開き始めています。西村前経済産業相は、問題となったキックバックについて「会長以外の私たち幹部が関与することはありませんでした」などと自身の関与を否定しています。

「安倍さんに申し訳ない」派閥幹部らの発言にXで批判 裏金問題 | 毎日新聞

 その上で、「このような結果になってしまったことについて、安倍総理に対し、大変申し訳なく思っております」としたといいます。

 この言葉をどう受け取るべきなのでしょうか。死人に口なし、身を守るためのことでした、どうお許しください.....そう読むのは邪推も過ぎるのでしょうか。

 

 

 安倍派の元事務総長で、前官房長官だった松野氏は、還流額が1000万円超が不記載であったことを明かし、派閥からの寄付と表現したそうです。また、不正な目的や私的な目的の支出は確認されていないといいます。

 安倍派の塩谷立座長は記者会見で、記者団から「脱税ではないか」と指摘されると、「脱税という意識はない」とし、「税務申告は全くしていない」と述べたといいます。

論語に学ぶ

孰(たれ)か微生高(びせいこう)を直と謂う。或るひと醯(けい)を乞いたるに、諸(これ)を其の鄰(となり)に乞いて、之に与えたり。(「公冶長第五」24)

 誰が微生高をまっすぐな人と言ったのであろう。ある人が微生高に酢を借りに来たことがあった。わざわざ自分の隣の家から酢を借りてきて、その人に与えた、と孔子がいいました。

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  自分のところに酢がなければ隣から借りて融通してあげる、何も悪いことではありません。隣の酢を自分のもののような顔をして融通する、あまり良いことではないにしても、事を荒立てて咎めるようなことはなさそうです。偽善ないし虚栄ととるほどでもないのでしょう。酢を借りに来た人に我が家は酢がありませんと素直に言えば、愚直でいい人と見られることなさそうです。何ごとも見方次第でどうにも見えるということなのでしょう。

 しかし、お金のやり取りとなれば、酢の貸し借りとは少々趣も変わってくるのでしょう。融通が利かないほど愚直に正直さが求められます。ずぶすぶになければ、ちょろまかしやピンハネなどの不正が横行することになりかねません。おカネのやり取りはそれほどに厳正なもので、それがみなの習慣となって、信用社会を形成しています。

 

 

 毎日毎日、膨大なおカネが「信義」をベースにした信用取引でやり取りされています。みながお互いを信頼し合ってこそ成り立つ取引です。ECサイトでお買い物し事前に決済しても、指定期日には商品が届くと信用しています。お店での買い物もまた同じです。レジを素通りするようなことはないと店は客を信用するから商売が成立します。

 しかし、中には信用を裏切る人がいますが、良心もなく、誘惑に負け、エゴイスティックな輩が不誠実な手段で手っ取り早くおカネを手に入れるようとします。ただそれはごく少数の人たちのはずです。

 信用取引は世界においても同様です。そればなければ貿易は成立しなくなってしまいます。この世界に共通することは、「信用」「信頼」であり、それは正直、誠実、善良で成り立ち、モラルが保たれて世界は動いているといってもいいのでしょう。

 しかし、日本の政治は、こうした世界共通の価値を蔑ろにしているようです。その自覚すらないのかもしれません。国民によって作られている社会の安全の基礎を政治が壊そうとし、良からぬ方向へ導こうとしているようにも見えます。たいへんな残念なことです。こういう人には退出してもらわないと、日本がいよいよほんとうに悪の巣窟となってダメな国になっていくことになりそうです。

 

 

「参考文書」

松野 前官房長官「政治不信を招いた 深くおわび」コメント発表 | NHK | 政治資金

自民安倍派の塩谷座長「還流、税務申告していない」 会見詳報 | 毎日新聞