「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

官邸でトラフグに舌鼓する首相、しらける政治改革

 首相が官邸で、山口県のフグ仲卸業者らでつくる「下関ふく連盟」の理事長らと面会し、天然トラフグの刺し身に舌鼓、「フグの食文化を大切に発展させてほしい」と語ったそうです。衆院山口3区選出の林官房長官も同席したといいます。

岸田首相、天然フグに笑顔 山口・下関の卸業者と面会 | 共同通信

 裏金事件で政治が混迷している最中、 またも鈍感力発揮というところでしょうか。

 首相との面談がニュースとなれば、効率のよいPRなのかもしれませんが、今では逆効果、パー券購入や企業・団体献金の成果なのかと勘ぐってしまいます。

 首相は時期が時期だけに、自粛すべきではないでしょうか。周辺取り巻きが意見、諌めるべきなのでしょうが、言ってもムダと諦め、思考停止を装うのが官邸での処世術なのでしょうか。

 

 

 政治倫理審査会に裏金疑惑渦中の人物が出席する意向を示したそうです。開催までにはもう一波乱二波乱ありそうです。事実解明が進むことはあるのでしょうか。

「裏金は何に使われたのか」、その代表的な使い道は「飲食費」だったと田原総一朗さんはいいます。

自民党の裏金問題、代表的な使途は飲食代:日経ビジネス電子版

「とにかくこうしたところにお金がかかり、裏金も回されてきた」と、取材した議員は答えたそうです。選挙に勝つために、普段からいろいろな有力者に自分をアピールし、同時に何を要望しているかを聞く機会をつくっているそうです。

不正や不祥事がいつまでもなくならないのは、「ジジイ」たちがますます強固な壁を築き、その中で自分たちの得になるようなことでしか意思決定をせず、一方で上の決定を実行に移す現場の人たちも、自分に不利益が生じないように「ジジイの壁」の人たちからのオーダーを全うしようと一生懸命になっているからなのです。(出所:日経ビジネス

 権力は正しく使ってこその権力、しかし、権力に依存するようになると、人はたちまち自分の保身に走り、「壁」を築いては、自分の考えに異を唱える人を脅威と見なし、次々と排除していくと、社会学者の河合薫氏は主張します。

 こうして多様性が排除された組織には、当然、「新しい風」は一切入らず、一度出来上がって壁は、なかなか崩れることがないといいます。

 

 

あきらめ感

 時代が変わりこれまでの様々な慣習が見直されるようになりました。しかし、「壁」の内側にいる人たちは自らは変わろうとしないそうです。

豊田自動織機が堕ちた「加速のわな」 増殖する何もしない社員たち:日経ビジネス電子版

“上”と戦うことの無意味さというか、戦う意志を持つことのバカバカしさに気づいた。(出所:日経ビジネス

こうして自然と「あきらめ感」が蔓延するようになっていくとといいます。

論語に学ぶ

子 顔淵に謂いて曰わく、之を用うれば則(すなわ)ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る。唯 我と爾(なんじ)と是れ有るか、と。子路曰わく、子 三軍を行(や)らば、則ち誰と与(とも)にせん、と。子曰わく、暴虎馮河(ぼうこひょうが)し、死して悔ゆる無き者は、吾 与にせず。必ずや、事に臨んで懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好んで而(しか)して成す者たれ、と。(「述而第七」10)

 孔子が弟子の顔淵にむかって「自分を任用しようという者があれば、世の中へ出て活動する。しかし、見捨てられたら隠遁する。そうしたとらわれのない自由の境地、そこに到達しているのは、わしとお前だけだね」といいました。すると弟子の子路が少しやっかんで「三軍を率いて戦うときは、誰を連れて行かれますか」まさか顔淵ではあるまい、この私ではありませんかと口を出しました。孔子は「虎と組打ちしたり、大河を渡渉したりして、死んでもかまわないとするという手合いとは、一緒に仕事することはできない。私の仲間としたいのは、ことにあたって慎重に構え、十分に計画を練って成功するような人間だ」とたしなめたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

「暴虎馮河」無謀な冒険を好むようなところがあった子路はその後、衛の内乱で死ぬことになったといいます。一方の顔淵は、「就職活動はしないが、求められればあえて辞せずに世に出て活動する。しかし、認められない場合には、静かにわが道を楽しむ」、そんな感じであったといいます。

 

 

「壁」に守られて保身に走るクソ上司が蔓延る環境で、そんな奴らに媚びを売るよりは、顔淵のように逃げて好きな道に没頭することの方が遥かに賢い選択のような気もします。

 しかし、その体制を壊す時には子路のような「暴虎馮河」のような態度も必要なのかもしれません。それが政治にあっては野党ということでしょうか。孔子の言う通り、慎重に構え、成功するよう十分に計画を練ってもらいたいものです。

 

「参考文書」

政治資金問題 自民 松野氏 西村氏ら5人 衆院政倫審出席の意向 | NHK | 政治資金

河合薫 なぜ日本の「ジジイの壁」はこれほど強固なのか:日経ビジネス電子版