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【初春2023年】新たな年への期待とは裏腹な厳しい予測、現実化しそうな日本衰退

 

 2023年を迎えました。今年が良い年であって欲しいものです。新年になって人心が一変すればいいのでしょうが、それも期待できず、昨年同様厳しい1年になるとの大方の予想のようです。世界は多方面で急速に変化し始め、この先どこに向っていくことなるのでしょうか。

零落する日本

 日本がいよいよ経済大国から脱落する将来像も予想され始めているといいます。長期経済予測の議論が活発になり、先進国の成長が鈍化する一方で、インドなど新興国で高い成長が続き、経済大国に加わる見通しになっているそうです。

2075年の日本、GDP12位に後退 経済大国から脱落予測: 日本経済新聞

 記事によれば、米投資銀行ゴールドマン・サックスのリポート「2075年への道 世界の成長鈍化も収れんは続く」の予想では、インドのGDPは30年までに日本を抜き、75年までに米国をも抜きその躍進が著しいといいます。

 一方、日本は現在の3位から、30年に4位、40年に5位、50年に6位とじり貧となる予想で、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン、エジプト、ブラジル、ドイツ、英国、メキシコにも抜かれ75年には12位に後退すると予測しているそうです。

 

 

 日本の75年のGDPは7.5兆ドルで、この予測通りであれば、経済規模は中国、インド、米国の7分の1程度になるといいます。

日本は、日銀の巨額国債買い入れ(量的金融緩和)に支えられた財政拡大策などを進めてきたが、低成長から抜け出せないまま、債務GDP比率が一段と高まり、経済大国としての序列の後退見通しが早まる結果になっている。(出所:日本経済新聞

「目先の規模優先の景気対策は、足元のGDPを多少押し上げる短期的な効果があっても、中長期的には累増する債務負担が成長を妨げるといわれており、その再検討も迫られている」と記事は指摘します。

中国の世紀へ、そしてインド

 一方、人口が急増するインドは人口ボーナスと、IT(情報技術)主導による生産性の向上が経済成長をけん引するとみられているといいます。また、中国は以前のような高成長が期待できなくなるものの、ハイテク技術などで競争力を高めており、先進国よりは高めの成長を続けられる予測になっているそうです。

 技術開発に遅れ、少子化対策に有効な手が打てままであれば、後塵を拝するしか道はないということでしょうか。エコノミストの予測が全面的に正しいということはないのでしょうが、このままで良いのでしょうか。

2023年の円安予想と日本回避

 2022年の円安の分析がなされ、2023年の円動向の予測も始まっています。昨年の円安は日本経済へのネガティブな評価から始まり、それ自体が日本回避と言える動きだったとの主張があります。

2023年の展望:春以降の円安再起動警戒、上下にぶれる要因は日米金融政策=唐鎌大輔氏 | ロイター

 記事は、この先、ドル全面高はFRB金利動向で修正される余地があるにしても、史上最大の貿易赤字などを背景にゆがんだ円全面安の部分は解消されまいと指摘します。

大きな決定が苦手な岸田文雄政権の特質を思えば、利上げは荷が重く可能性は高くはない。金利上昇は住宅ローン金利などを通じてかなり露骨に家計部門から嫌われるはずだ。(出所:ロイター)

 長期視点に欠け、保身、政権維持のことしか頭になく、党内多数派の施策を優先するでけの自民党政権の限界なのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

子 顔淵に謂いて曰わく、之を用うれば則(すなわ)ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る。唯 我と爾(なんじ)と是れ有るか、と。

子路曰わく、子 三軍を行(や)らば、則ち誰と与(とも)にせん、と。

子曰わく、暴虎馮河(ぼうこひょうが)し、死して悔ゆる無き者は、吾 与にせず。必ずや、事に臨んで懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好んで而(しか)して成す者たれ、と。(「述而第七」10)

 孔子が弟子の顔淵に、自分を任用しようという者があれば、世の中へ出て活動する。しかし、見捨てられたら引退する。淡々と出処進退できるのは、私とお前だけだね」といいいます。すると、側にいた子路が少しやっかんで口を出し、三軍を指揮されるときは、だれを連れて行きますか」と質問をします。孔子は、「虎と組打ちしたり、大河を渡渉したりする、そういう無謀なことをして死んでもかまわないとするような者とは、一緒に仕事することはできない。私の仲間としたいのは、ことにあたって慎重に構え、十分に計画を練って成功するような人間」と答えたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 義侠心、正義の味方のふりをし、勇ましくなって強者をくじこうとして、暴虎馮河、無謀な争いに巻き込まれることは絶対に避けなければならないのでしょう。

 防衛力を高めたところで、先々人口が減り国力が低下し続ければ、その維持さえおぼつかなくなってしまうのですから。そんなことを優先課題にせずに、最優先で取り組まなければならないことが他にあるのでしょう。

 政治の劣化が止まりそうにありません。政治家たちが孔子のような感覚を持つ日は来るのでしょうか。