確定申告が始まり、窓口で自民党裏金事件について文句を言う人がいるそうです。その一方で、税務署の窓口で働く人たちは困惑しているといいます。
「議員は納めてない」確定申告窓口にクレームで受付困惑 国会でも「なぜ脱税問えぬ」
税務署で働く女性
「『自分たちもそれは良くないとは思ってるけど』みたいなふんわりとした回答しかできないですけど、どこに言えばいいのか分からないから、税務職員にみたいな。そういう理由というのは何となくわかるが、こっちも困るという感じ」(出所:テレビ朝日)
民主主義国家でありながら、国民の声が適正に政治の場に反映されないという不条理なようなものを感じます。
「正しくやってほしいけど、私の声は届かない」、「納得感はないが、仕方がない。義務なので。もう不信感しかない」と税務署で確定申告をする人は話しています。
国会でも、野党が国税庁に対し、疑惑議員に税務調査を行ったのかと問いただしますが、国税庁は守秘義務があるとして、税務調査を行ったかどうか明らかにしなかったそうです。国税庁側にも事情があるようで、政治家相手に、税務署の一存ですぐ調査しますとは言い難いといいます。名が売れている大物議員となればなおさらだといいます。
こうした現状を受け入れざるを得ず、割り切って納税するしかないと国民は嘆きます。こんな理不尽が横行していては民主主義ではないような気もします。
国民の声が届かない民主主義
政権交代で問題が一気に解決に向かうのが理想なのかもしれません。しかし、内閣支持率が急落、自民党支持も最低を記録しても、肝心要の受け皿となる野党の支持は伸びません。そうではなく無党派層が拡大しています。
「小沢氏のように流れつくれる人がいるか」大島理森氏が語る政権奪還:朝日新聞デジタル
有識者は野党の問題を指摘します。しかし、弱体化してしまった野党がいきなり力を回復することもないような気もします。またそれを過度に求めることになれば、論点がずれて現政権が喜ぶのかもしれません。野党は批判されるようがそれを受け入れて、諦めずに問題を追及し、その解決にめどを立てて国民の負託に応えることになるのでしょうし、それが民主主義を守ることになるのでしょう。
論語に学ぶ
微子(びし) 之を去り、箕子(きし) 之が奴(ど)と為り、比干(ひかん) 諌(いさ)めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り、と。(「微子第十八」1)
微子は祖国を去り、箕子は奴隷となり、比干は諫めて死んだ。孔子は「殷王朝には三人の人格者がいた」といいました。
殷王朝の最後の王「紂」は暴政を働き、それを戒めた者を処罰したそうです。しかし、その後、殷王朝は倒れることになります。「紂」はこの三仁の声を聴いていれば、もう少し長く存命できたのかもしれません。
「微子」、紂王の兄。「箕子」、紂王の叔父。紂王を諫めたが捕えられ、狂人と偽って奴隷となったそうです。
「象牙の箸を使うなら陶器の器では満足できず、玉の器を作る事になるだろう。玉の器に盛る料理が粗末では満足できず、山海の珍味を乗せる事になるだろう。このように贅沢が止められなくなってしまうに違いない」と危惧し、紂王に贅沢をやめるように諫言したという。これが後に「箕子の憂い」、小さな事柄から大きな流れを察知することという言葉が生まれる。
紂王が倒した武王は、箕子を招聘して、その該博さに驚嘆し、朝鮮に封じ、箕子は箕子朝鮮を建国することになったといいます。
「比干」、紂王の叔父。「臣下たる者は命をかけて諫言しなければならない」と諫言しましたが殺されることになったといいます。紂王は「聖人の心臓には七竅(七つの穴)があるそうだ。それを見てみたいものだ」と言って殺害し、その胸を切り開いたといいます。
元来、国政を担う者は、権力者が道からそれるときに「命をかけて諫言しなければならない」のでしょう。それが国民の望むものと異なるのであれば、なおさらです。しかし、官僚も議員も悪習となった忖度を改めることできないでいるようです。これではいずれ殷王朝と同じ運命をたどることになっていきそうです。
多くの国で連立政権が誕生するようになっています。それはG7においても同様です。多様化する世界においては自然な流れなのかもしれません。
「大いなる妥協」で非自民の連立政権があれば、もう少し政治改革が進み、今ある問題も解決するのかもしれません。理想的な民主主義を実現するため、時代時代にあった政策を実行するため、その時々、過程においては色々な形があってもいいような気がします。
「参考文書」
「支持政党なし」最多の 52%ナゼ? 小渕優子議員「野党転落を思い出す」……自民支持率“最低”の 24% 野党は受け皿になれず(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース