「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【記憶と決断】逡巡したドイツ首相、謙虚さが足りない首相

 

「悪口集め」、ファーストリテイリングの柳井社長のことばです。悪口、つまり批評とか批判は自分を知るのに役立つということのようです。

私たちの商品到達水準を知る上では非常に役立つ。自分たちが送り出した商品の失敗を直視し、研究し、改善する(引用:「一勝九敗」柳井正

 自分に対する批判や批評はこころよいものではありませんが、謙虚になって受け止めることができれば、そこに成長の種があるということなのでしょうか。

 

 

 しかし、国政にあっては、こうした言葉も通用しないのでしょうか。国をより良くしていこうとするはずの政府であるなら、広く意見を求めて、過去の失政を反省し、それを活かせば、数ある国の難問も解決に向かうはずですが、そうならないのがもどかしいです。

ドイツの逡巡

 ドイツが、ウクライナ主力戦車レオパルト2」を供与することを決めたそうです。慎重姿勢であったショルツ首相が方針を転換したといいます。

ドイツが主力戦車を供与決定 米国も提供、欧州安保強化: 日本経済新聞

 ショルツ首相の逡巡、ためらい、決断がつかず、しりごみしてしまう。理解できない訳でもありません。

どの企業や組織にも記憶がある、この記憶が、人々を歩く道をつくる。(引用:「スターバックス再生物語」ハワード・シュルツ

 二度の大戦を経験したドイツが、国内世論を気にかけることは当然のことなのでしょうし、また、それによって自国民を危険にさらすこともできない。そう考えるのも大戦の記憶からのことなのでしょう。

 ただ現実にあってはならない戦争で苦しむ人々がいる、また関係各国からの要請がある。難しい決断です。逡巡すればするほどに、批判の声が耳に届く。

誰かと論争するより、誰かと合意する方がはるかに得になる。(引用:「バフェットの大不況を乗り越える知恵」メアリー・バフェット)

「相手と意見が対立する場合でも、相手の意見に耳を傾け、相手の意見を尊重する。しかし、議論を合意に導いておかなければ、対立相手をリラックスさせ、自分の意見を聞く気にさせることは難しい」と、バフェットはいいます。相手が自分の意見を聞く気になって議論に勝つ一歩になるそうです。

 

 

論語に学ぶ

微子(びし) 之を去り、箕子(きし) 之が奴(ど)と為り、比干(ひかん) 諌(いさ)めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り、と。(「微子第十八」1)

 微子は祖国を去り、箕子は奴隷となり、比干は諫めて死んだ。孔子は「殷王朝には三人の人格者がいた」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 微子、箕子、比干は、殷王朝最後の王「紂」に仕えていました。それぞれに諫言していたそうですが、紂は耳を傾けず、これらの忠臣を失ったばかりでなく、国を亡ぼすことになりました。

 自分と合わない意見にも謙虚に耳を傾けなければ、自身の問題を知ることもできず、失敗に向かうということなのでしょうか。

聞く耳

 国会論戦が始まっています。首相には聞く耳があるのでしょうか。

 国を二分するような大切な案件であれば、ことさら対立する相手の意見に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 日本にも戦争の記憶があります。また周辺国にも同じような記憶があるはずです。対立する相手の意見を尊重する姿勢があってもいいような気がします。

 そこから共通認識が生まれるのではないでしょうか。

 首相は党内の極端な意見ばかりをごり押しすることがあってはならないのでしょう。それが自滅への道となるのかもしれません。