首相の長男 岸田翔太郎政務秘書官が、首相外遊中のロンドンやパリで観光していたとの週刊誌報道について、広報のための写真撮影や首相の土産購入が目的だったと木原官房副長官が釈明したといいます。
木原副長官、岸田秘書官の「観光」否定 広報用で撮影、首相の土産購入:時事ドットコム
また、「個人の観光動機による行動は一切なく、政務秘書官としての公務以外の不適切な行動はなかった」とも説明したそうです。
政務秘書官として必要な行動だったのでしょうか。心根が知りたいところです。いずれにせよ、この時勢にあって、このニュースを聞いてこころよく思わない人が多いのではないでしょうか。
物価の高騰がおさまる気配はなく、賃上げの動向も未だ見通せません。一方で、中小企業の賃上げのためには価格転嫁は不可避といいます。転嫁が進めば、さらなる高騰になることはないのでしょうか。
いつになったら新しい資本主義の下、成長と分配の好循環が実現できるのでしょうか。
政策運営がしっかりしていれば不安を感ずることがないのでしょうが、現実がそうなっていないから不安を感じるのでしょう。翔太郎氏の件がその最たる現れのような気がします。
小事に規律正しく臨めない者は、往々にして、大事にも規律正しく臨めない。(ウォーレン・バフェット)
裸の王様
政治ジャーナリストの田崎史郎氏が広島市で「岸田政権の行方」と題して講演したそうです。
「首相は9月に解散・総選挙に打って出る」 政治ジャーナリスト田崎史郎氏の見立て 中国経済クラブ講演会 | 中国新聞デジタル
記事によれば、田崎氏は首相が「昨年11月上旬に、吹っ切れたとみている」と述べたそうです。
世論調査で内閣支持率が9ポイント落ちた。不思議なくらい大きな下げ幅だったが、岸田首相は全然落ち込んでいなかったと周囲から聞く。支持率を毎日気にするのではなく、自分がやろうと思ったことをどんどんやっていく以外ないと腹を固めたのでないか。(出所: 中国新聞デジタル)
評論家の読みが正しいか否かはわかりませんが、そう思えなくもありません。
支持率が落ち、支持率回復につながるだろうと思える政策の数を増やせばいい、それでは少々安易すぎないでしょうか。それも、それを独断するようであれば危険極まりありません。
田崎氏によれば、賃上げについて経団連の強い後押しで3%半ばくらいになると、官邸は見通しを立て、及第点を得られるだろうとしているといいます。また、少子化問題には首相も強い危機感を持ち、なんとか打開しないといけないとの思いから、「異次元の少子化対策」という言葉を使ったといいます。
経営者が愚劣極まる買収に熱をあげる時、社内の幹部は必ずと言っていいほど、ボスの立場を正当化するのに必要な数字をひねり出している。(ウォーレン・バフェット)
「王様が裸だと教えてもらえるのはおとぎ話のだけだ」とバフェットはいいます。
生き残り
早くも首相は来年の自民党総裁選を考え、衆院解散の時期を探っていると田崎氏は指摘します。
今年衆院を解散しないと、総裁選は次の総理大臣を決める選挙になってしまうことより、むしろ今年9月頃に解散し、総選挙を実施して、民意を得た総理総裁として来年の総裁選に臨む方が勝ちやすいとの見立てをしています。
自らひねくり回して出した政策で支持を失いがら、自ら生き残るために、あれこれと立ち回るようであれば、確かに首相は生き残れるのかもしれません。
しかし、それで日本の衰退に拍車がかかり、国として生き残ることが困難になったとするのならどうするのでしょうか。浅はかとしか言いようがありません。
国家の責務に、独立を確保して国民の生命、財産を守るということがあるそうです。こうしたことを根拠にして、防衛論が展開されたりするのでしょう。一理はあるのかもしれませんが、それに以前に、政府の愚策によって国として生き残れなくなったら、元も子もありません。
論語に学ぶ
君子は周して比せず。小人は比して周せず。(「為政第二」14)
君子 教養人は公平であって偏らず、党や仲間を優先しない。小人 知識人は仲間贔屓があって利害で取り入り、公平さがないと意味します。
「周」は「あまねし」で、平等、公平。「比」は「ならべる」で、仲間、党派。
君子は教養人、知識人にして、さらに道徳的修養を積んだ人格者といいます。
間違いを認めない者は、周りの人々の不信感を買う(ウォーレン・バフェット)
首相はどんな人物なのでしょうか。
「参考文書」
「あんたら金ファミリーか!」岸田の”ドラ息子”翔太郎氏に政界大分裂! 慶應→三井物産の政治素人「未知すぎる実力」(みんかぶマガジン) - Yahoo!ニュース