株価が好調のようです。日経平均が3万8000円を突破しました。いよいよバブル期の過去最高値の更新も近づいてきたようです。
東証大幅反発、3万8千円台突破 34年ぶり高値、半導体けん引 | 共同通信
企業の堅調な業績を背景として、日本株の先高観が強いといいます。シティグループ証券などは、2024年の高値予想を従来の3万9000円から4万5000円に引き上げたといいます。
名目賃金の上昇継続や輸入インフレ鈍化に伴う実質所得の改善、人手不足などを背景とする設備投資の増加などから国内景気は回復基調をたどる公算が大きく、為替が大幅な円高に振れない限り、企業収益は24年度も増益を維持。(出所:ブルームバーグ)
ただ「株価と生活実感に大きなずれがある」といいます。 株価上昇、その高まる期待の反面、足元の経済情勢は、個人消費が四半期連続のマイナスになるなど、良いということはないようです。2023暦年の実質GDP成長率は+1.9%でしたが、今年2024暦年は+0.3%と大きく下振れることが予想されているそうです。
日本経済は、インバウンド需要と米国向け輸出の堅調さなどによって辛うじて支えられている脆弱な状態だ。 (出所:野村総合研究所)
円安を背景に好調な企業業績の裏側では、労働分配率低下など個人の所得が犠牲になっている構図もあるといいます。
円安、弱い経済
ドルベースでの名目GDPがドイツに抜かれ、日本は4位に転落しました。そう遠くないところでインドに抜かれて5位になるとの予測もあるそうです。
GDP591兆4820億円 世界4位に転落 55年ぶりドイツ下回る 23年 | 毎日新聞
円安の影響が大きいといわれますが、円安トレンドが弱い経済の中で急激に円高方向に変わっていくことは難しいようです。
専門家たちは、政府の経済対策の問題点を指摘し、成長戦略の必要性を説きます。
論語に学ぶ
君子は食に飽くるを求むることなく、居(お)るに安きを求むること無し。事に敏に、言に慎み、有道に就きて正す。学を好むと謂う可(べ)きのみ。 (「学而第一」14)
君子 教養人は腹いっぱいの美食を求めたり、豪華で心地よい邸宅に住みたい、そんなことに満足してはならない。公に務めるべきで、なすべき仕事は俊敏にこなし、発言は慎重にして出しゃばらない。その上、「有道」優れた人格者に接して、自分の言動について批判を乞うて自ら正すべきである。こうしたことができる人こそ「好学の士」額を好む人といってよい、と孔子は言いました。
この国の政治を司る今どきの国会議員は、孔子が理想とするような君子像とは真逆のようです。政策活動費という費目を設けては、会合と称して美食にふけっていたりして、国民のことを顧みようとはしません。一般国民は、政府の圧政による高い国民負担率に喘ぎ、働く職場では給与を低く抑えられ、政府の無策によって長引く物価高にも苦しんでいます。こうした社会事情からすれば、議員の振る舞いは酒池肉林とまでは言わないまで悪徳を働いているようにも見えてしまいます。
孔子が生きた古代においては、こうした悪事を働く特権者を暴君とされていたといいます。
首相が国会審議で、所得税の確定申告を呼びかけたそうです。裏金の受領が脱税に当たる疑いがあるとの野党の批判を“さておく格好で、「法令にのっとり適切に申告、納税を行うようお願いしたい」と発言したといいます。
岸田首相の納税呼びかけに批判噴出 「確定申告前」トレンドに | 毎日新聞
首相には「君子の才」がないのは間違いようです。行動は鈍重で、発言すれば物議となり、自身の言動を省みることもないようです。
学問を好むというのは、理論を無視するのでは決してないが、それを内的にもてあそぶことではなく、理論をつつんで外にあらわれる自己の行動が道にかなっているかどうかを省察することだ。 (引用:「論語」桑原武夫)
「リスキリング」、首相に今、求められていることではないでしょうか。学ぶことができないのなら、もうそろそろお引き取りいただきたいものです。
「参考文書」
シティ、日経平均の高値予想を4万5000円に引き上げ-日銀は緩和維持 - Bloomberg