「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

政治と企業だけではない、横行する不正、機能しなくなったガバナンスとコンプライアンス

 政界に産業界、大学に警察、どこにおいても不正、スキャンダルのオンパレード状態に陥っているようです。不正が起きるたびにガバナンスやコンプライアンスが強化されてきているはずなのに、どれひとつ機能していないということでしょうか。怖ろしいことです。ほんとうに日本の未来が心配になります。

 

 

事件捏造なのか

 生物兵器の製造に転用可能な装置を無許可で輸出したとして、大川原化工機の社長らが逮捕、起訴されましたが、その後起訴が取り消された事案がありました。この会社の社長は東京都と国に損害賠償を求め訴訟を起こしていましたが、この裁判において、現役の警視庁の公安部員がこの事件を「捏造」と証言していたといいます。

大川原化工機起訴取り消し損賠訴訟27日判決 解釈の恣意性が焦点 | カナロコ by 神奈川新聞

 この公安部員は裁判で、公安部が立件方向に進めた理由には「捜査員の個人的な欲や動機」を挙げ、逮捕と勾留も「必要なかった」と証言したといいます。驚きの内容です。

 この裁判の判決が、東京地裁で27日に出るといいます。立件のために輸出関連の規定を恣意的に解釈し、検察も追認したかどうかが焦点になるそうです。

初の代執行

 沖縄県辺野古基地周辺の工事を巡る代執行問題で、玉城知事は裁判所から命じられた設計変更承認に「反対する多くの県民から負託を受けており承認は困難だと判断した」とのコメントを発表しました。

沖縄県、辺野古工事「承認せず」 国が初の代執行へ - 日本経済新聞

 県は代執行訴訟の高裁判決を不服とし、最高裁に上告するそうです。ただ上告しても地方自治法の規定により、逆転勝訴するまでは代執行の効力を止めることはできないそうです。

 国は近く「代執行」を実行するといいます。国が自治体の事務を代執行すれば初めてのケースになるそうです。考えさせられることです。

 

 

変わらない自民党

 自民党安倍派の裏金問題がいよいよ派閥幹部への事情聴取へと発展しました。しかし、問題を解決しようとの意思が自民党からは感じられません。未だに「数は力」との考えが党内にはびこり、派閥解消論にも至らないといいます。

 世間の常識と自民党の常識が大きく乖離しているようです。自民党内で通用する論理も、世間からすれば、それは「政治とカネ」の問題であり、許しがたい行為です。しかし、党内にいて変に否定すれば、逆につまはじきの憂き目にあうことになりかねないのかもしれません。善悪を考えるのでなく、あくまでも党内の論理に従うことが自民党議員の常識になっているのでしょうか。これではいつまで経っても、不正、悪行が正されることはなさそうです。

論語に学ぶ

 王孫賈(おうそんか)問うて曰わく、其の奥に媚びんよりは、寧ろ竈(そう)に媚びよは、何の謂いぞや、と。子曰わく、然らず。罪を天に獲(う)れば、禱る所無し、と。(「八佾第三」13)

 衛の国の権力者「王孫賈」が孔子に「奥に取り入るより、「竈」台所に取り入りるとは、これいかに」と問いました。孔子は「いやいや、天に背いて罪を得ては、お許しはどこからも出ません」と答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 位が高いだけで実力のない君主(奥)よりも、実権者である自分(竈)に近づく方が現実的ではないかと、「王孫賈」は孔子に誘いをかけたといいます。孔子は、「天」自然の道理、哲理に背けば「」を得ることだとし、その誘いを拒絶したようです。

 

 

 もしかして社会に蔓延るようになった不正やスキャンダル、もめごとなどは、「道理(物事の正しいすじみち。人として行うべき正しい道。ことわり)」が無視され、狭い組織の論理が優先されるがために生じているのもかもしれません。そうであれば、ガバナンスもコンプライアンスも意味をなしそうにありません。

 孔子ではないですが、罪の意識を持てれば、不正に手を染めることもなくなるのではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

「勤勉な国」日本で組織的不正が起こる根因 「アイヒマン実験」が教えてくれる教訓 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン