「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

米中首脳会談、違い鮮明、時間を要しそうな対立解消、日中首脳会談に挑む首相

 覇権を争う米中関係はやはり気になります。何せ、それ次第では日本がとてつもない影響を受けかねません。その米中の両首脳がサンフランシスコで1年ぶりに会談しました。期待とは裏腹に、何ごとも思うようには進展してないようです。

「競争が衝突に転じないよう管理しなければならない」とバイデン大統領は表明し、習近平主席は、地球は十分に大きく米中共存は可能だとして「大国間競争は時代の潮流に合わない」と主張し、中国封じ込めをやめるよう訴えたといいます。

米中、緊張緩和へ軍対話再開 首脳会談、台湾巡り応酬 | 共同通信

 台湾問題は日本にとっては関心事です。元首相が発言した「台湾有事は日本有事」との言葉に未だに縛られているからなのかもしれません。

 会談は4時間に及んだそうです。それほど慎重に話し合わなければならない事項が多いということだったのでしょうか。

 共同通信によれば、幅広い分野で対立する両国関係の緊張緩和を図ったといいます。ただ、台湾を巡っては応酬になったそうです。

 

 

「この会談で関係が改善するのかと言えば答えはノーだ」、米国の専門家たちはこの会談をそう評価しているそうです。

 会談の目的は事態が悪化するリスクを抑制することであり、それからすれば、今回の成果を「比較的小さい」と評価したといいます。

米中首脳会談、小さな勝利は緊張悪化を食い止められるか - Bloomberg

結局のところ、米国は中国を体制的なライバルと見ており、中国政府は米国が中国を封じ込めようとしていると確信している。(出所:ブルームバーグ

 中国の発展を米国の重要な利益に対する「重大な脅威」、米国民の多くがそう見ているそうです。そうした米国世論からすれば、バイデン大統領は「競争関係の枠組み」を維持せざるを得ず、この関係を終わらせ、新たな関係を再構築することを願う中国とは相容れるものがなく、譲歩しないと強調しているかのようだったといいます。

 一方、中国側は経済分野でこれといった成果を得ることができなかったともいいます。

論語に学ぶ

子夏(しか)筥父(きょほ)の宰と為り、政を問う。子曰わく、速やかならんと欲する無かれ。小利を見ること無かれ。速やかならんと欲すれば則(すなわ)ち達せず。小利を見れば、則ち大事成らず、と。(「子路第十三」17)

 弟子の子夏が筥父という地の長官となり、政治の心構えを尋ねました。孔子は「成果を急がないことだ、目先の小利を求めないことだ。速く成果をと思うと到達しない。小利に目がくらむと、大きな仕事が完成しない」と教えたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 米中首脳どちらも、目先の利益を優先せることもなく、大事の達成のためには譲ることもないということなのでしょうか。どちらも身勝手、わがままな振舞いとみなすこともできそうですが、それもまた現実ということなのでしょう。

 

 

日中首脳会談

 日中首脳会談もサンフランシスコで開催されるそうです。処理水問題や中国当局による邦人拘束事案、尖閣諸島問題など日中の懸念について議論、また「戦略的互恵関係」の再確認も議題となる見通しといいます。特に目新しい動きもなさそうです。

「戦略的互恵関係」を再確認 処理水、尖閣議論へ―日中首脳会談:時事ドットコム

「外交には裏付けとなる防衛力が必要であり、防衛力の強化は外交における説得力にもつながる」と首相はかつて語っていました。力に裏付けられた外交を以ってして平和の維持は可能となるとの考えによるようです。

 防衛力の強化に動いている今、その成果を発揮することはできるのでしょうか。ただ目先の利益を追い、支持率回復を狙うのでなく、地域の安定のための議論で成果を上げて欲しいものです。経済は右肩下がりで世界的な影響力が減じ、その上、国のリーダーの本音が見透かされては外交交渉も厳しいような気がしますが。

 

 

敗戦国として

戦争は良くない。機関銃で敵の兵隊を殺す、そんなことが正当化されることが決してあってはならない。そんなことは皆、分かっている。戦争はやめて、トラブルは話し合いで決めましょうという分かりやすいことが、どうして守れないのかっていう絶望がある。(出所:時事ドットコム

 大戦を経験した映画監督 山田洋次さんの言葉です。終戦を中国 大連で迎え、敗戦による恐怖、不安、貧困、人種差別など様々な辛い経験したそうです。

戦後の混乱と貧困の中で出会った「マドンナ」 【戦後保守政治の裏側 ㉕】:時事ドットコム

 山田監督の言葉には説得力があります。そうした経験が映画製作にも活かされているそうです。

「僕にとってのテーマは、どうしても『どうやって生きていくか』ということで、『どうやって食っていくか』ということ」、このこだわりが自らの「限界」にもなったと吐露しています。

そういうところから、もっと離れた『美』という世界についての関心を、思春期にあまり抱けなかったという悔しさはある。(出所:時事ドットコム

 山田監督の心身に残された「戦争の傷跡」が限界を作ってしまったそうです。この「戦争の傷跡」が様々な形となって長く戦後の日本を支配することになると記事は指摘します。

 

 

 遠い異国での紛争が続いています。連日のように衝撃的な映像が流され続けています。敗戦を経験し、その悲惨さ、痛みを知る日本ならではできることがありそうです。実際に体験した山田監督が切実に語ってくれているのですから。勝利国の論理だけではなく、敗戦国ならではの論理があっていいような気がします。