「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

G7議長国としての責務、見えぬ日本のリーダーシップ

 

 遠い異国での争いがこれほど長引くとは思わなかったし、これほどまでに私たちの生活に影響するものとも思いませんでした。望むことはただ早期に解決され、世界が平和と安寧をとり戻すことです。

中国詣で

 欧州のリーダーたちの訪中が相次ぎます。スペインのサンチェス首相が先日中国を訪問しました。

ウクライナ戦争からの打開策を模索するために世界は中国の声に耳を傾けるべき」と、訪問前にそう述べていました。

 続いて、マクロン仏大統領とEUのフォンデアライエン委員長も中国を訪問するそうです。

仏大統領、中国の対ロシア軍事支援に警告へ 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

「最悪の事態を避けるため、わが国は(中国に)関与し、こちらの立場を示す必要がある」として、フランス側としては「紛争終結に向けた中期的な道筋」を明らかにしたい。(出所:AFPBB News

 記事によれば、中国を「世界で唯一、何らかの形でこの紛争に即時に根本的な影響を与えられる国」とし、対話は一層重要とみているといいます。

 この訪中には、航空機メーカーの「エアバス」などの企業関係者も多く同行するといいます。中国との経済関係での連携強化を図るねらいもあるそうです。

 他方、中国には欧州との関係を改善させ、米国主導の対中包囲網を打開したい思惑があるのではないかといわれています。

トランプ劇場

 米国では、トランプ前大統領がまた動きを活発化させているようです。

トランプ氏、地元フロリダで演説へ 起訴で離反警戒か - 日本経済新聞

 ニューヨーク州の裁判所に4日に出頭し、罪状認否や指紋採取などを行った後に地元フロリダに戻る見通しで、その後、演説を行うといいます。

 起訴は民主党による「魔女狩り」と反発、次期大統領選で返り咲きを目指す意向を改めて示し、来年の大統領選は「正当性を立証する日になる」と強調しているといいます。

 トランプ劇場、米国の民主主義にまた危機が訪れ、問題を複雑化させることになるのではないかと心配になります。

問題解決には

「人は世界をあるがままでなく、見たいように見ている」といいます。さらに「人は問題の解決ではなく、自己の正当化に汲々することが往々にしてある」ともいいます。

 これに対し「問題解決力の優れた人は、自分自身の認識の客観性をも疑っていることが多い」そうです。また、科学的アプローチで、問題は何かを特定し、その構造を解明し、解答を導き出していくといいます。

アメリカ海軍に学ぶ、問題解決力に優れたリーダーの特徴 | 日経BOOKプラス

 こうした人間の性質を踏まえ、アメリカの海軍では、「科学者はかならずしも客観的な人間ではないが、自分が客観的ではないということは学んでいる」とし、「良い士官は、良い観察者となるに当たって、科学者の例に倣うべきである」と教えているといいます。

 どの国のリーダーがもっとも問題解決に向いているのでしょうか。

論語に学ぶ

子、衛の霊公(れいこう)の無道を言う。康子(こうし)曰わく、夫(そ)れ是(かく)の如くんば、奚(なん)ぞ喪(うしな)わざる、と。孔子曰わく、仲叔圉(ちゅうしゅくぎょ)は賓客を治め、祝鮀(しゅくだ)は宗廟(そうびょう)を治め、王孫賈(おうそんか)は軍旅を治む。夫れ是の如し。奚ぞ其れ喪わん、と。(「憲問第十四」19)

 孔子が衛国の君主霊公が無道であると非難した。すると季康子が、「そのようであるのに、どうして、君主の地位を失わないのだ」と尋ねた。孔子は「仲叔圉が外国使節に応対し、祝鮀が国家祭祀を司り、王孫賈が軍隊を掌握しております。そうである限り、君主の地位は揺るがない」と答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「霊公」は、衛の国の君主。夫人である南子を寵愛し、喜ばせるために、彼女の愛人だった宋朝重臣として迎え、醜聞になったといいます。それでも、それなりの人物を重臣におけば、良くも悪くもとりあえず国を治めることはできるということなのでしょう。

G7議長国としての責務

 日本の林外相が訪中し、秦剛外相や李強首相、王毅政治局委員と会談しました。

 邦人の拘束について抗議し、早期の開放を強く申し入れたといいます。また、日中韓3カ国の協議の枠組みを再開することで一致したそうです。

中国外交トップ王毅氏、中日関係に時折「雑音」 林外相と会談 | ロイター

 これに対し、中国外交のトップの王氏は、日中関係をおおむね安定しているとした上で、時折さまざまな「雑音や混乱」が発生すると指摘、日本の一部勢力が米国の「誤った中国政策」に追従していると語ったといいます。

 相手の目にそう映るということは、それはそれで事実なのでしょう。それなりの人物がそれなりに国を治めていると指摘されたということではないでしょうか。そうであるから時に、無用ないざこざを起きたりするのでしょう。

 日本は今年G7の議長国になっています。まずは欧州での深刻な問題の解決のため、欧州と足並みを揃えて中国へ働きかけてもよさそうな気がしますが、どうなのでしょうか。

 問題をあるがままにみて、解決できるように行動さえすれば、自身にとっても色々な面で好都合になっていくはずです。それなのに、自分が見たいように見ていては、問題を複雑化させるだけなのでしょう。こういうことも米国を模倣しているのでしょうか。

 

「参考文書」

世界は中国の声聞くべき、ウクライナ戦争巡り=スペイン首相 | ロイター

仏マクロン大統領 5日から訪中 EU委員長も同行 習主席と会談へ | NHK | フランス

FOXニュースCEO、トランプの虚偽主張への事実確認を「ビジネスに悪影響」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)