「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【V字回復した鳥貴族】利他の精神を活かした経営、徹底した経費管理

 

 焼き鳥チェーン大手の鳥貴族がコロナ禍にあって、V字回復を果たし、22年8~10月期の連結決算が、前年同期の17億円の赤字から黒字転換し、大きく収益が改善したそうです。

鳥貴族が「稲盛和夫の経営哲学」でやっと理解した、飲食店が儲からない根本理由 | 「超一流」の流儀 | ダイヤモンド・オンライン

 記事によれば、トリキは、故稲盛和夫氏が推奨した「アメーバ経営」に取り組んだことが功を奏したといいます。

 

 

アメーバ経営と何か、そこから得られる利益

アメーバ経営」とは、企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織し、アメーバごとに「時間当たり採算=(売り上げ-経費)÷労働時間」を算出し、この最大化を図る経営手法といいます。

 また、「時間当たり採算」の目標値を月次、年次で管理し、その達成を目指すそうです。

 アメーバは、構成メンバーの数が少なく、また成果が数字にすぐに表れるので、当事者意識を引き出しやすいとのメリットがあるといいます。

外食企業であれば、店舗ごとに売り上げの最大化、コストの最小化を図るわけだ。店の運営にどのようなコストがかかっているかを細かく項目に分け、その一つ一つの項目について店舗スタッフ全員で知恵を出し合って改善に取り込むことになる。(出所: ダイヤモンド・オンライン)

 記事は、外食産業における適用例を説明しています。

 一方で、一般的なケースにおいては、雇われ店長、社員スタッフが飲食店の管理をするケースでは、日々の業務に忙殺されることが多く、コスト管理といっても材料費と人件費にしか目がいかなくなるのが飲食店の常だといいます。また、水が出しっぱなしになっていても、必要以上の温度設定になっていても、気にするケースは少ないのではないかと指摘、しかし、アメーバ経営はそれを許さないといいます。

 これが外食産業の実態なのでしょうか。これでは放漫経営と言わざるを得ないような気がします。

直営全店で毎月1万円の経費を削減するだけで年間4000万円を超える利益を上乗せできますから。実際に細かな取組みの積み重ねで、備品コストは全社で年間1億円を削減できた(出所: ダイヤモンド・オンライン)

 トリキはアメーバ経営を導入することによって経費管理が適正に実行されるようになったようです。

 

 

トリキウェイ

 鳥貴族は、働く全員が幸せになってほしいとの願いから、「トリキウェイ」という共通の価値観をつくったそうです。

TORIKIZOKU 新卒採用サイト(トリキウェイ)

「正しい人間」「利他の精神(他人の繁栄を計らずして、己の繁栄はない)」「善=幸福」など9項目がならびます。

 また「利他の精神」は以下のように説明しています。

自分のこと、自己の利益を優先する人間には人も集まらず、協力者も現れない。仕事においても同様で、利他の精神は商売の根本でもある。最初に利益優先で考えるのではなく、まず初めにお客様の立場に立ちお客様の喜びを優先することで、お客様に満足して頂けるようになる。(引用:トリキウェイ)

 価値基準が明確になると、仕事が洗練されてくるのでしょうか。

 鳥貴族の大倉社長は、自社の強みを、「居酒屋の多くは『総合居酒屋』として様々な食材を扱っていますが、当社は鶏肉に絞った日本一のチェーンとして強い調達網を構築できている」といい、ユニクロのような製造小売業 SPAに近い業態と説明しているそうです。

コスパの良さ」、こうした他社との差別化も「利他の精神」があって、結実したのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

禹(う)は吾 間然(かんぜん)すること無し。飲食を菲(うす)くして、孝を鬼神に致し、衣服を悪しくして、美を黻冕(ふつべん)に致し、宮室を卑(ひく)くして、力を溝洫(こうきょく)に尽くす。禹は吾 間然すること無し。(「泰伯第八」21)

 夏王朝創始者である「禹」について、批判するところがない。「禹」は自分は粗食するが、祖先の祭祀は十分に行ない、ふだんは粗末な衣服であったが、祭礼のときに着る祭服は、美々しく、住居は高層にしないが、灌漑の用水路作りには力を尽くした。「禹」について、批判するところがないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 天子でありながら、日頃は質素倹約に勤める一方で、国の行事ではその礼式に則るようにする。そして、公共事業を施して民に貢献する。天子としての権威や権力におぼれることなく、自己を律し、民のために尽くすことができた君主だったのでしょうか。現代においては、こうしたあたり前のことが風化しているのかもしれません。

「善」とは、道徳的に正しいということであり、多くの人が「よいこと」だと認めること。人は、きれいなもの、美しいことに感動し、吸い寄せられる。人間も同じで、善なるところに人が集まり、協力してくれるようになる。そうなれば必ず幸福につながる。
「きれいごと」にならないよう「善」を実践し続けるためには、自らを律していなければならない。(引用:トリキウェイ)

 


米国のエゴと利他の精神

  米国を訪問、バイデン大統領と会談した岸田首相が、バイデン氏から高い評価を得られたと自画自賛しているように見えます。

「サンモニ」青木理氏「アメリカの下請け、2軍」岸田首相の日米首脳会談にチクリ/芸能/デイリースポーツ online

 米中による覇権争いがますます激しくなっています。米国が優位性を守ろうとするのは、米国のエゴではないでしょうか。それに加えて、費用と役務を軽くしようとするのも、その現れなのでしょう。

 そんなことに日本が巻き込まれることもないように感じます。

 しかし、米国も心得たものです。自身のエゴを通すためには「利他の精神」を発揮しなければならないことを知っているのでしょう。

 岸田首相がまんまとうまくそれに乗って、説得されているに見えます。米国のしたたかさなのでしょう。その分、日本国民が負担を背負うことになりそうですが。