「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【権力者の圧力】なくならない不正、悪質なビックモータの事例

 またも企業での不正行為、中古車販売大手のビッグモーターが大手損保各社に保険金を不正に請求していたといいます。故意に車に傷をつけるなどして修理代を水増ししていたそうです。また、事故車両を修理する全国の工場で売り上げの架空計上など粉飾に当たる会計処理もあったそうです。

ビッグモーター、不正5年以上か 粉飾も、ノルマ優先で法令軽視 | 共同通信

 この事案の発生を受け、調査していた特別調査委員会の報告書によると、従業員の4人に1人が不正に関与していたといいます。

 

 

外部弁護士の調査報告書によると、板金や塗装部門の元本部長が指示し、工場で粉飾が横行していることが2018年ごろに社内で発覚した。元本部長は、修理の工賃や部品から得る粗利の合計金額を上げるよう各工場長に強く要求。1件当たりの合計金額は「@(アット)」の隠語で呼ばれ、工場長らの圧力を受けた複数の従業員が粉飾のほか、故意に車を傷つけて修理代を水増しするといった不正行為に及んだことを認めた。(出所:共同通信

 また経営陣の判断で工場長などに対する一方的な降格処分が頻発していたそうです。「経営陣からの指示にそのまま従い、これをそんたくするいびつな企業風土が醸成されていた」ともいいます。

 それにしても、権力を有する経営者の理不尽な要求にも従わざるを得ない従業員が、より高い意識をもって、法令遵守をも要求される構造になっていることにただ驚きます。

 因果関係がわかれば、問題解決できそうですが、逆に不正が増えていないかと心配になります。

 成果を得たい、ほめられたいという感情が高ぶると、法を守るという規範意識まで侵蝕していくということなのでしょうか。

 企業の不正が続きますが、その背景には共通することがあるのでしょうか。

論語に学ぶ

之を道(みちび)くに政を以てし、之を斉(ととの)うるに刑を以てすれば、民免(まねか)れて恥無し。之を道くに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有りて且つ格(ただ)し。(「為政第二」3)

 行政を法制のみに依ったり、治安に刑罰のみを用いたりするのでは、民はその法制や刑罰にひっかかりさえしなければ何をしても大丈夫となって、それでも恥ずるところはないとなる。しかし、その逆に、行政を徳に基づき、治安に礼、規範を第一とすれば、不善を心から恥じるようになって、かつ正しくなると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 企業が成長を目指して営業ノルマを設定することは法律に触れることもなく何も問題はないのでしょう。また成績不振の人を降格させることも同様なことなのでしょう。しかし、それで社員が不正を犯すようになってしまうのではあれば、正しいことではなさそうです。

 不正を犯した社員は罪を負わなければなりません。しかし、断罪したところで不正がなくなることはないのでしょう。

 

 

「悲惨な境遇から犯行に走った気持ちは分かる」「埋もれていた問題が事件によって表面化した」。安倍氏を殺害した山上被告の刑の減軽を求める署名活動を産経新聞が批判しています。

【我流~社会部発】「殺人は許されぬが…」という前置きのうさん臭さ 安倍氏銃撃1年 - 産経ニュース

「いくら前置きで予防線を張っても、テロリストと背景・動機を絡め、過度に意味を与えるのは危うい。共感することで結局はテロ容認に直結するロジックになってしまう」と記事は指摘、「暴力の恐怖によって社会変革をもくろむテロリストのゆがんだ思惑を葬るには、社会が微動だにしないことに尽きる」といいます。

蛮行の記憶が薄れる中で、旧統一教会に人生を狂わされた窮状が法廷で再び垂れ流されるのだ。事実関係に争いがなければ、弁護人が情状面を主眼に置くのは当然だ。であれば、情状主張を淡々と受け止める社会の成熟こそが、テロの連鎖を断つ生命線となることを肝に銘じたい。(出所:産経新聞

 一理ありそうな主張です。犯人を断罪してこそ、治安は維持できるとの主張にも聞こえます。はたして、それでテロを根絶できるのでしょうか。何においても因果はあるものです。テロリストを生まないような社会であればいいのではないかと思います。

 権力者たちが「何ら法律に反することをしてはいない」と開き直るのではなく、もう少し謙虚になり、思いやりの心をもつようなれば、世の中の空気感が変わるのかもしれません。それが政策となり、日々の言動で示されるようになれば、少しずつ社会不安は解消していくものなのでしょう。

 

「参考文書」

ビッグモーター 4人に1人が不正関与と回答 一部従業員への調査 | NHK | 自動車

<社説>旧統一教会 解散請求、粛々と進めよ:東京新聞 TOKYO Web