ビッグモータに巡る問題が世間を驚かせます。この先どんな展開となっていくのでしょうか。それにしても、損保各社とのなれ合い体質は醜いものです。
協力関係を作って、互いに顧客を紹介し合うことはアイデアとしてはよかったのかもしれませんが、その実態が信用を蔑ろにしたことは残念でなりません。
大手損保、「なれ合い」構図 事故車紹介、契約獲得にプラス―ビッグモーター不正:時事ドットコム
ビッグモータと損保各社のなれ合いが、不正を見逃す下地となり、そのしわ寄せが保険契約者に及んでいると記事は指摘します。
水増し請求、高い保険料
水増し請求で修理代金が高くなった結果、本来は使う必要のない自動車保険の利用で保険の等級が下がり、割高な保険料を支払った事例もある。(出所:時事ドットコム)
信じ難い、酷い話です。これが売上増の源泉だったり、これによって企業成長を目指していたというのならもうお仕舞いといっても過言ではないような気がします。
記事によると、損保各社は今後、ビッグモーターから保険金を回収し、被害に遭った契約者を本来の等級に戻して、支払い過ぎた保険料を返還するなど、契約者への対応を急ぐといいます。信用を基盤としたあたり前なビジネスをしてさえすれば、こんな事態に陥ることはなかったのでしょう。
進化したハード、古いままのビジネスモデル
ビッグモーターは、大手損保から紹介された年間約3万台に上る事故車の修理を手がけ、紹介された台数に応じて、損保各社に中古車の販売に伴う自賠責保険の契約を割り当てていたといいます。
車修理市場3割減 ビッグモーター、拡大路線のひずみ - 日本経済新聞
一方、自動車の進化により衝突軽減ブレーキなどが普及することで、交通事故が減り、車修理市場の規模はピークの1998年度から3割以上減少したといいます。そうであるにもかかわらず、ビッグモータは強気の事業拡大にひた走っていったといいます。
それが高すぎる目標やノルマにつながっていったのでしょうか。
論語に学ぶ
利に放(よ)りて行えば、怨み多し。(「里仁第四」12)
利害打算だけで行動すると、他者から怨まれることが多くなると意味します。私利私欲を追い求めることだけに執着することがあってはならないのでしょう。
「利」とは、あくまで、公利、公益、社会のためであるといいます。それが実現できて、その実践者である個人が損することはないはずなのですから。そうであるにもかかわらず私利私欲に心を奪われてしまうから、守るべきあたり前なこともないがしろにするようになり、信用を棄損するようになるのでしょう。
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こうしたあたり前のことを理解さえすれば、企業が不正に走ることもなくなるのではないでしょうか。また、こうしたことを理解した上で、長期利益の最大化に努めれば、結果として企業は成長することになるのでしょう。その結果、国全体もやがて経済成長するようになっていくのでしょう。
社会の利益、便益の最大化を目的にし、それを挑戦する企業が増えれば、社会もまた健全性をとり戻していくのではないでしょうか。