マイナンバーカードの混乱が続いています。制度への不信感を理由に自主返納する人も増加しているようです、自治体の中には、説明を強化する動きも出ているといいます。
そんな中、「マイナポイントの申請」がカード取得の目的で、一切利用していないとの調査結果がまとまったといいます。
マイナカード取得者、用途トップは「ポイント申請」 一方、「一切利用していない」人も - ITmedia NEWS
記事によれば、取得者364人に用途を聞いた結果(複数回答)、1位は「マイナポイント申請」で53%、2位は「本人確認書類(身分証明書)として使用」、3位は「住民票、印鑑証明書などをコンビニで取得」と続き、次いで多かったのは「一切利用していない」だったといいます。
大々的にマイナポイントをPRし、これまでの国の説明からすればこういう結果となって当たり前なのかもしれません。
過大報告
総務省が公表していた「マイナンバーカードの交付枚数」約8800万枚が過大報告であったといいます。
カードの交付が始まった2016年1月から今年6月末までの廃止枚数は計約492万枚に及び、この数字が含まれていたそうです。
マイナ交付で500万枚過大計上 死亡や返納の廃止分、実態と乖離 | 共同通信
交付枚数の増加を積極的にPRしていたことを思い出します。正確性に欠くデータを国が利用していたことに驚きます。国民の不信感に拍車がかかりそうだと記事は指摘します。
総務省は使用可能な有効カードに絞り込み、交付枚数を公表する方向で検討しているそうです。情けなくなる対応です。
先送り
「先送りできない重要な課題にひとつひとつ答えを出すべく、取り組む姿勢をこれからも大事にしたい」とは、首相がよく口にする言葉です。それが「安倍氏の遺志」に報いるためだともいいます。そうは言えども、問題・課題は一向に解決されずに、相も変わらず、先送りにするのが常のように見えます。
防衛増税、25年以降に先送りの公算大 自民税調会長「きつい状況」 | 毎日新聞
大人の事情があるのでしょうが、言っていることとやっていることがあまりにも異なっているように思えてなりません。
論語に学ぶ
巧言は徳を乱る。小 忍ばざれば、則ち大謀(たいぼう)を乱る。(「衛霊公第十五」27)
言葉巧みな弁舌に引っかかれば心を乱すことになる。小さな正義に乗ってしまえば、乱れて、大望を遂げることはできないといいます。
国がこうも混乱するのは、言葉を大切にせずもてあそび、十分に思考せずに何かを実行するからなのかもしれません。
犬公方の悪法
犬公方こと、江戸幕府五代将軍徳川綱吉は「生類憐みの令」を制定して世を混乱させました。その臨終に際しては近臣を呼んで「このことに限って、百年の後も余が生きていたいたときのように指示するのが孝行というものであろう、よく聞いておけ」と遺言したそうです。しかし、これによって罪を受けた者が何十万にも及び、後継の家宣は大いに苦慮し、棺の前に進み出て、「私個人としては永久に仰せに背くことはしません。しかし、天下人民のことになりますと、考えることもありますので、お許し願いたい」といって、禁令を停止し、民は救われることになったといいます。
綱吉は「人々が仁心を育むように」との願いがあってのことだったようですが、結果的に悪法となって人々を苦しめることになりました。近代においては、極端な理想主義の法律・法案などに対する批判としてこの言葉が使用されるようになっているそうです。
歴史を振り返れば、この時代が綱吉の時代とだぶって見えます。それなりの大義で様々な政策や法律が施行されますが、それが国民の多くを苦しめるようになっていそうな気もします。家宣のような先代の遺志に背いても民を救おうとする指導者が待たれているのでしょう。ましてその先代が裏表のある人物であればなおさらではないでしょうか。
「参考文書」
マイナカード自主返納【NHK調査】4~6月にかけ増加 制度の不信感多 | NHK | マイナンバー
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