「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

マイナンバーと政府対応、終わらないトラブル、そのセンスのなさ

 マイナンバーカードが誤発行され、他人が利用する事案も発生していたそうです。マイナンバーカードのトラブルが後を絶ちません。

 政府はマイナンバーカードについて、成り済ましのリスクが低い「最高位の身分証明書」とPRしてきましたが、その信頼性が大きく揺らいでいるといいます。

マイナカードを他人が利用 同姓同名に自治体が誤交付 | 共同通信

 言語道断なのでしょうが、ここまでくるともう呆れるとしかいいようがありません。仕事の質の低さ、やる気のなさが起因しているのでしょうか。こうなると、やっつけ仕事になっているようにも見えます。

 

 

 「マイナ保険証」においても、資格確認ができずに全額負担を求められたケースが全国で少なくとも533件判明しているそうです。読み取り機などの不具合で資格確認ができない場合に、患者の全額負担が生じることがないよう運用方法を見直すと発表したそうです。

「10割負担」回避で運用見直し マイナ保険証、6月中に―厚労省:時事ドットコム

「国民に心配を掛けていることについて申し訳なく思う」と松野官房長官は記者会見で、陳謝し、関連するデータやシステムの総点検、新たな誤りが生じない仕組みづくり、国民の不安一掃のための丁寧な対応に取り組む考えを強調したといいます。

 心がこもらずに上辺だけの謝罪のように感じます。繰り返し使われる「丁寧」という言葉に飽き飽きしてきます。そんなことだから、信頼回復が遠退いていくよう気もします。センスなさに驚きます。

政府の総点検本部発足

 政府はこの問題に対し、デジタル庁と厚生労働、総務の3省庁による「総点検本部」を立ち上げ、初会合を今日開催するそうです。

 それにしても、なぜ「点検」という言葉を使うのでしょうか。言葉遊びになっているような気がします。この状態になっても、「無謬性の原則」とか、メンツにこだわっているのでしょうか。点検して問題が確認されれば対策が求められるのではないでしょうか。

政府、マイナンバーの「総点検本部」を設置へ トラブル続発に対応:朝日新聞デジタル

 記事によれば、首相が記者会見し、政府と自治体の連携を強化するなどの対応策を説明し、また、首相や閣僚が関与を強めることで、制度に対する国民の不安解消につなげたい考えといいます。

 どんな記者会見になるのでしょうか。従来スタイルの会見で、首相が延々とスピーチするだけの会見で不安解消になるのでしょうか。

 

 

無謬性の原則

日本の政府や大企業の官僚組織でほとんど無意識のうちに前提とされているのが、「無謬(むびゅう)性の原則」である。「ある政策を成功させる責任を負った当事者の組織は、その政策が失敗したときのことを考えたり議論したりしてはいけない」という信念だ。(出所:日本経済新聞

マネジメントの欠如

 著名な経営学者であるピーター・F・ドラッカーは、マネジメントの必要性は企業ばかりでなく、政府機関、軍、学校、病院などの組織においても同様であると主張しています。

 また、マネジメントにおけるマネージャーの役割を「命令する権限」ではなく、「貢献する責任」と定義します。(参考:ダイヤモンドオンライン

 ドラッカーの主張を取り入れれば、今の公的機関においてはマネジメントが欠如しているといえそうです。

 マネジメントを知りさえすれば、政府対応にも変化が起こり、成果を示せる組織に変容していくことも出来そうな気がします。

 

 

論語に学ぶ

君子は器にならず。(「為政第二」12)

 君子 教養人は専門家ではないとの意味です。器はすべて特定の用途のために作られ、それ以外の用途には適しません。「舟は水に浮かべるが山に登れない、車は陸を行くが海は渡れない。君子は用途のせまい器のような専門家であってはならない」との意味だと桑原武夫はいいます。転じて、君子を大局を見る人との読みもあるといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 兎角、この世においては専門人材が重視される傾向があります。専門人材の必要性は言うまでもないのすが、それはまた使役される立場にある人々ともいえます。

 こうした専門人材を束ね、社会貢献するよう導けるのがマネージャーであり、そこには専門的なスキルも必要なのでしょうが、それに加えセンスないし、教養が求められるのではないでしょうか。こうした素養を身についた人があまりにも少な過ぎるような気がしますし、その価値が正しく認知されていないのかもしれません。

 

 

断ち切れない悪習

 アメリカ合衆国建国の父といわれるベンジャミン・フランクリンは、自分が犯す過ちを少なくしようと「13の徳目」を身につけるよう若いときから努力したといいます。

 自分自身の頭で正しいことをわかっていっていても、常にそれを実行することは不可能で、時に間違ったことをしてしなうのが人であるとフランクリンは悟ったようです。

悪い習慣を断ち切り、幸福な人生が手に入る…アメリカ建国の父が死ぬまで守り続けた「13の徳目リスト」 自分の理性で人生を変えることは難しい | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

人の過ちは、生まれもった性質、長年の習慣、友人の誘惑といったさまざまなことに起因するので、そうしたすべての原因を克服する必要があった。(出所:プレジデントオンライン)

「完全な道徳性を身につければ、より有意義な人生を送れると頭でわかっているだけでは、過ちを防ぐことはできない」とフランクリンはいいます。「自分はけっして道を間違えないという確固たる自信を手にするためには、まず悪い習慣を断ち切り、よい習慣を身につけなければならないのだ」と強調します。

 国や組織を導く人には、フランクリンのようなこうしたセンス、感覚をもつことが求められているのではないでしょうか。日本が長く停滞し続けるのも、こうしたセンスのない人がリーダーになってしまうからのような気がします。

 

「参考文書」

マイナ対応で本部設置 ひも付けミス、カード誤交付も―続くトラブル、収束見えず:時事ドットコム

マイナポータルでの引っ越し手続き不具合で河野大臣「復旧に2日かかったのは問題」 | 日経クロステック(xTECH)

無謬性の原則と全体主義 - 日本経済新聞

【あなたの上司は?】ドラッカーが教える「真のマネジャー」を見分ける基準 | 定番読書 | ダイヤモンド・オンライン