米国のブリンケン国務長官の訪中の成果が報じられています。バイデン大統領は「大きな仕事をした」とねぎらい、米中関係は「正しい道筋にある」と述べたそうです。
米中関係は「正しい道筋にある」 バイデン大統領、長官訪問を評価 | 共同通信
米国外交トップの訪中は約5年ぶりだったといいます。関係を極度に悪化させれば、その修復には時間を要するとのことなのでしょう。
中国の習近平国家主席と会談したブリンケン国務長官は北京での記者会見で、米中関係に「前向きな一歩」があったと述べたそうです。また「これは米国と中国の国益であり、その意味で世界の利益だ」と語ったともいいます。
習主席、米中関係進展は良いこと-前向きな一歩とブリンケン氏 - Bloomberg
世界に大きな影響力をもつ超大国、また、それぞれに違う理念をもっています。相容れない国同士ということなのでしょう。それなのに、対立することを辞さずに、自国の利益を主張し合っていたのですから、緊張感が高まっていたのでしょう。
そんな超大国に振り回されていては得はなさそうです。そうならないのよう立ち振る舞うべきと強く感じます。
論語に学ぶ
命(めい)を為(つく)るに裨谌(ひじん) 之を草創し、世叔(せいしゅく) 之を討論し、行人(こうじん)の子羽(しう) 之を脩飾し、東里(とうり)の子産(しさん) 之を潤色(じゅんしょく)す。(「憲問第十四」8)
外交文書を作るとき、大夫の裨谌が草稿を書き、大夫の世叔が検討し、外交官の子羽が補正し、東里に住む子産が潤色したと意味します。
古代においても、それほどまでに外交問題には慎重に取り組んでいたということなのでしょう。緊張を高めることは、今も昔も愚かなことなのでしょう。
太平洋戦争終結後、日本はひたすらに戦勝国米国を追いかけ、いつの日か追い抜くとの淡い願望をもって突き進んできたのでしょう。それが戦後の高度成長の原動力だったのかもしれません。しかし、その夢もバブル崩壊ともに終わり、その後は長期停滞に陥ることになりました。それでもなお、いまだに米国流を身に纏ったまま、盲目的に米国に追従しているだけにも見えます(色々な言い訳はあるのでしょうが)。
#054 僕たちは「成長の再定義」をするべき時期に来ている 前編|山口周
開国以来、かの国に通底する「他国が得意な競技では決して戦わない」という強い選択的意図が読み取れます。アメリカの経済分析局はかつて「GDPは20世紀で最も偉大な発明の一つだ」と評しましたが、そう考えるのも無理はありません。なんといっても、この指標で測るからこそ「米国は世界一の覇権国」であり続けられるのです。(引用:僕たちは「成長の再定義」をするべき時期に来ている 前編|山口周)
言葉悪く言えば、極めて身勝手に振舞う米国につき合う必要はあるのか、そう考えたくなるようなことが増えていないでしょうか。だからといえ、単純に中国に傾斜するのではなく、その中間に道を探したほうが良さそうな気がします。そこにこそ、これからの未来があるように思えてなりません。
このまま米中が仲違いを解消して欲しいものです。もしそれが実現するのなら、どんな世界が待っているのでしょうか。そこに努力を向けるべきではないでしょうか。
「参考文書」
米国務長官、習氏と建設的な対話 両国の関係に良い一歩=米政権 | ロイター
米国務長官が5年ぶり中国訪問、外相と「率直な」会談行う=米国務省 - BBCニュース