社会のゆがみが問題となって現れ、それを解決していく、その繰り返しで、世界は発展してきたのだから、この先も同じことを繰り返していけば、ときに停滞することはあっても、さらに発展を続けていくことはできるのでしょう。
時代が進めば進むほど、問題は次々と現れるものです。それはこの世が完璧な社会ではないということなのでしょうし、それを目指しても永遠に到達することはできないものでもあるのでしょう。
人はつねに努力を続けるべき存在で、それを怠ったときに衰退していくのかもしれません。
国内問題の解決はそこそこに、目を海外ばかりに向けて、世界のリーダーを虎視眈々と狙おうにも、かつてのように国力に勢いがなく衰え始めているのですから、リーダーの座を取れるはずもありません。そうでもあるにもかかわらず、分不相応な大きな望みを抱えても、それが実現することはないのでしょう。
米国の傲慢さ、中国の不遜
経済力をつけた中国を米国が敵視するようになり、米中が対立します。
米国のイエレン財務長官がワシントンの大学で講演し、米国は中国との「建設的で公正な」経済関係を求めているといいますが、一方で、米国の安全保障上の利益を守り、外国企業に対する優位性を保とうとする中国の行動に対抗していくと表明したといいます。
イエレン米財務長官、中国との建設的で公正な経済関係構築訴え | ロイター
米国の理念と懸念は理解できます。米国らしさなのかもしれませんが、「傲慢さ」、他人を見下すようなところもあるように感じます。
他方、中国、こちらも経済力をつけて「不遜」、思い上がった態度があるのかもしれません。それでは折り合いがつくはずもないのでしょう。
フランスの苦言
こうした状況に業を煮やしたのでしょうか、「欧州は台湾問題で米中に追従すべきでない」との考えをフランスのマクロン大統領が示しました。苦言なのでしょう、一理あるように思いますが、批判を招きました。
米国はそのフランスを懐柔しようとしているのでしょうか、両国首脳が電話会談したといいます。
しかし、完全にその溝は埋まっていないようです。記事によれば、会談後に両者が発表した声明では台湾を巡る部分に相違も見られたそうです。
リーダーに相応しくない日本
翻って日本、米中対立に乗じ、それを煽っているように見えてしまいます。メディアも「中国脅威論」やら「台湾有事」と煽りまくっています。そんなことをしている場合なのかと、言いたくなるほどに社会が弱り始めているように思えてなりません。
日本の人権状況は好ましくなく、国際的には批判をされることが多々あります。しかし、メディアはそれを正しく報道していないとの指摘があります。そうなってしまうと、国内にいる限り、自分の国がどんな状況なのか正確に知ることができなくなってしまいます。
「日本はこれまで何度も同じ勧告を受けてきて、まったく改善しようとしない。まるで国際社会に反抗しているように見える」(出所:mi-mollet)
『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』という本にある一文だそうです。
こんな状況では、世界のリーダーを目指すことじたいが無謀にも思えます。
論語に学ぶ
曾子(そうし)曰わく、堂堂たるかな張(ちょう)や。与(とも)に並びて仁を為し難し。(「子張第十九」16)
弟子の曾子が同門の子張のことを、「堂々としている。ただ、ともに仁を為すことは難しい」といいました。
「子張」、秀才肌の弟子で、論語での登場回数も多く、それだけ影響力があった人物と言われます。人となり才が高く、意が広く、人の感情などに拘らないところがあったそうです。また、ときに正統を離れる異説を好むこともあったともいわれます。
同門の「子游」も「子張」を誰も及ぶことができないと評す一方で、その「仁」は完成していないといいます。
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米国や中国が、「仁」の精神を欠く子張のように見えます。そんな両国に追従したり対抗するべきでもないのでしょう。逆に日本が「仁」を実践できるようになれば、国内の問題は解決に向かい、また平和への道も拓かれ、それを通じて世界のリーダーにもつながっていくのではないでしょうか。真の学び直しが求められていそうです。
「参考文書」
イエレン米財務長官「中国に懸念を伝える」 「適切な時期」に訪中の意向 対中経済政策に関し講演:東京新聞 TOKYO Web