「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

こども未来戦略、歳出改革、国民負担増回避、言葉をもてあそぶだけの国会議員

 

 戦略に改革という言葉が安易に使われているような気がします。原資もないのに費用を必要とする施策に走り、後になってから、さて財源をどうしようかといっているようでは改革と呼べそうにありません。

岸田首相、「負担増」議論回避 衆院選にらみ歳出改革アピール―少子化対策:時事ドットコム

 こども未来戦略方針が閣議決定され、その後首相が記者会見し、「歳出改革を徹底することで、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す方針は揺るぎない」と協調し、負担増に対する国民の懸念払拭に躍起となっているそうです。

 解散風が吹く中、国民負担増が選挙の争点となることを避けたいとの狙いがあるようだといいます。

 

 

 戦略も日々の実行の中に活かされて、実現に向かってこそ意味あるものです。本来は国民生活をいかに豊かにするかがテーマであるはずなのに、戦略が選挙に勝つためことに焦点を合わせて組み立てられているとしたら、子ども政策を含め、目的が実現することもなさそうです。これでは歴史を前に進めようにも、阻害しかねません。

 世の中がいつも変わらず一定であれば、問題など起きようがありません。しかし、常に環境は変化するものです。それゆえ問題が生じ、課題が生まれます。その解決に向け、適切な戦略が立てられ、それが各組織、個々人の行動計画に翻訳され、各人がそれに基づいて実行し、結果を出していけば問題解決は進みます。個人でできることに限りはありますが、統率されたチームで対応するようになれば、効率的な推進が可能となり、解決のスピードが上がっていきます。そうしたチームがいくつも立ち上がれば、問題が次々と解決されるはずです。

 しかし、目立ちがり屋のリーダーは託することができずに、何かにつけ、自分が自分となり、表に出るような行動するのでしょうか。そうではなく戦略の策定に全力を尽くし、そのマネジメントに徹するべきなのでしょう。しかし、政治の世界はそうはいかないようです。日本停滞の根っこもそこになるような気がします。

論語に学ぶ

士の道に志すや、悪衣・悪食を恥ずる者は、未だに与(とも)に議するに足らず。(「里仁第四」9)

「士」がいったん志を立ててその道へ進むとき、衣食のことで肩身が狭いの広いなどと、心を煩わしているようではだめではないか、もっと深い問題を何のこだわりもなく話し合えるようにならなければならないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 無理なことなのかもしれませんが、政権をとりたいとか守りたいとか、そうしたことに汲々とすべきではないのでしょう。第二義的なことに血道をあげては、一義であるはずの国民生活が無視されかねません。それでは本来の選挙制度や民主主義から逸脱していくばかりです。

 

 

入管法改正案が参議院で可決・成立しました。難民保護推進派と自称し、衆議院法務委員会において野党推薦の参考人として法案の審議に参加した人が完敗だったと認め、日本にいる難民や庇護申請者の身に危険が及ぶおそれが大幅に高まったことは、痛恨の極みと語っています。

押し通された「改正入管法」の舞台裏 国会参考人が問う | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

現在の国会の与野党勢力図に鑑みれば、与党は究極的にはどの法案でも数の論理で通すことができるため、今回の政府与党案を確実に阻止するには、廃案要求ではなく修正協議でできる限り中身を変えるしか方法はない。(出所:Forbes)

 この人は立憲民主党推薦の参考人として与野党双方に修正協議を訴え、具体的な文言修正案を提案したそうです。

 永田町・霞が関の常識ではあり得ないほど大幅な修正案が提示され、実質的に意味の大きい内容だったといいます。しかし、一切の妥協を許さない廃案一択派からの圧力に押された立憲幹部が「修正案にのらない」と判断したことで勝負が決してしまったと悔しがっています。

 

 

何が何でも反対し続けるのではなく、今回は修正案に乗ることで逆に実質的にも政治的にも大きな実利を獲得できたはずであった。(出所:Forbes)

「形勢不利が最初から明らかな場合には、現状確実なレベルで損益を確定させ、損害を最低限に抑えた上で新たな別の戦いに挑む、というのが戦略の鉄則ではないか」とこの人はいいます。

「政府与党側も真剣に修正協議していた今回のような千載一遇の機会には、野党側も修正案に賛同することをある意味で「人質」に取って、修正案交渉で更に大胆な妥協を引き出す、くらいのしたたかさがあっても良かったのではないか」と残念がります。

 一方的に否定するでもなく肯定するでもない、筋が通れば、実利を求めてもいいはずです。

 国会議員の世界では、改革も戦略も言葉の遊びに過ぎず、実行が伴わないということでしょうか。これではいつまで経っても歴史が前に進むことはなさそうです。

 実行とは、目標を立てその達成に責任をもつことであり、結果を評価することでもあります。そのためには、これまでとは違う点を重視し、これまでに持っていなかったスキルを獲得し、これまでより素早く、効率的に動かなければなりません。それがあって、これまでとは違うことを実行したことになり、変化に対応できるようになっていくはずです。

 しかし、人とは往々にして、変わるのを嫌がるものといいます。その悪習の弊害を垂れ流しているのが国会議員たちのようです。

 

「参考文書」

「隠然」似合った政治家 裏で汗かき手柄は人に―青木元官房長官死去:時事ドットコム