「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

大規模金融緩和で信頼が揺らぐ日銀、大幅な人員削減で信用をつなぎとめる米ハイテク企業

 

 税負担が軽く、金利も低くければ、活況を呈し、多くの人々が押し寄せて経済が発展しそうです。それによって、そこに暮らす人々が豊かになっていく、それが理想なのかもしれません。

 しかし、現実とは厳しいものです。なかなか理想は実現せずに、逆の方向に向かってしまうこともあるようです。

 そこには競争があるからなのでしょうか。負けまいとする競合相手がいて、より魅力的なものが提供されるのなら、人はそちらへと引き寄せられるていくのでしょう。

 

 

末路

「金融緩和策の縮小」、そう望む企業が増加しているという調査結果がまとまったといいます。

金融政策「緩和縮小」望む企業が4割、黒田日銀は65点-帝国データ - Bloomberg

 記事によれば、帝国データの「金融政策10年の評価と今後に関する企業アンケート調査」で、企業の約4割が今後1年程度の間に現行の金融政策の修正を求めていることが分かったといいます。

「当時の円高解消や株価の底上げに効果を上げたことは評価できるが、後半は過度の市場介入が市場や日銀財政をゆがめ、その割に効果が少なかった」などの声があった。(出所:ブルームバーグ

 黒田総裁下での大規模緩和の評価は、「80~89点」が22.2%で最も高かったそうですが、平均は65.8点となったといいます。

 急激な円安の進行や市場機能の低下など大規模緩和の弊害が顕在化する中、日銀黒田総裁の次の体制では、緩和策の修正が課題になるとの見方が金融市場でも共通認識になりつつあるといいます。また、企業も同様に考えていることが調査から明らかになったといいます。

 改革が避けられなくなったということでしょうか。

 変革、大きな改革には痛みを伴うことは常です。早い段階から改善が積み重ねられていたなら、こうした事態は避け得たのかもしれません。痛みを最小化しつつ、軌道修正していくことが次の総裁に求められていそうです。

 

 

論語に学ぶ

樊遅(はんち)稼(か)を学ばんと請う。子曰わく、吾は老農(ろうのう)に如(し)かず、と。圃(ほ)を為(つく)ることを学ばんと請う。曰わく、吾は老圃(ろうほ)に如かず、と。樊遅出(い)づ。

子曰わく、小人なるかな、樊須(はんす)や。上(かみ)礼を好めば、則ち民は敢(あ)えて敬せざること莫(な)し。上 義を好めば、則ち民は敢えて服せざる莫し。上 信を好めば、則ち民は敢えて情を用いざる莫し。夫(そ)れ是(かく)の如(ごと)くんば、則ち四方の民、其の子を襁負(きょうふ)して至らん。焉(いずく)んぞ稼を用いん、と。(「子路第十三」4)

 弟子の樊遅が田の作り方を教えていただきたいと願い出たことがあった。すると孔子は「私より手慣れた農民のほうがよく知っている」と答えた。樊遅は続いて畑の作り方をと言ったので、孔子は「私より手慣れた圃人(はたけつくり)がよく知っているぞ」と答えた。

 樊遅が退出したあと、孔子は「樊須は、小人 知識人に終わっているな。為政者(指導者)が「礼」を大切にするならば、必ず民衆は尊敬する。為政者が「信」を重じるならば、必ず民衆は支持する。為政者が誠意を尽くすならば、必ず民衆は言い訳をしなくなる。そのようであれば、四方の人々がぜひにと、その子を背負って集まってくるだろう。どうして為政者が農業の振興を第一とすることがあろうか」と言ったと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 樊遅は為政者として立つために、当時の重要産業である農業について知っておこうと思い、孔子に質問したそうです。一方、孔子は、指導者になるのなら、君子 教養人たる者、専門的技術、知識よりも、もっと学ぶべきことがあると知って欲しかったようです。

 

 

大きな正義

 米国のハイテク企業が一斉に人員削減を実行しています。その大胆さには驚くばかりです。

 そんな中、マイクロソフトのナデラCEOは、「先行きが不透明で不安定な時に、明確さをもたらせるかどうかが重要だ」と述べたといいます。

マイクロソフトCEO、リストラ通知で示したコミュニケーションの極意 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 現代のリーダーが備えるべき最も大切な資質は、混乱のときでも物事をはっきりと見極め伝える能力だと記事は指摘します。

 ナデラCEOは、人員削減を実施するにあたり、従業員宛てにメッセージを送り、その旨を説明したそうです。

 まず厳しいビジネス環境を簡潔に説明し、「マイクロソフトは、これをくぐり抜けて、より強く競争力のある企業になるだろう。ただし、3つの優先事項に基づくアクションが必要」とし、「将来へ向けた戦略的な分野への投資を続けていく。資本と人材の両方を当社の長期的な成長と競争力のために費やす一方で、その他の分野から撤退する」と語ったそうです。

 リーダーが明確さを最優先することで、部下やステークホルダーから信頼を勝ち取れるといいます。もし人員整理の実行に躊躇い、業績がさらに悪化したなら、逆に不信が募ることになったのでしょう。

 

 

小さな正義

 コロナ渦にあって、日本では異例の策が次々と実行されました。一時的な危機は回避されたものの、その後になると、また次の問題が生じています。

日銀の異次元緩和頼み脱却、迫られる政府 成長の約束果たすとき - 日本経済新聞

「ゼロゼロ融資」、コロナ渦で実施された政策です。一定期間、返済が猶予されていましたが、返済が始まると、返済できない企業は与党議員に泣きつき、この声をもとに補助金などのための予算が組まれてきたと記事は指摘します。

 困窮企業を救済できるのかもしれませんが、逆に国民の負担はどんどん増し、そればかりでなく、経済が活性化することもなそうです。

 政策変更の声が上がるのも無理からぬことなのでしょう。信用される国との差が歴然としているようです。